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茅葺屋根50年ぶり葺替え♡堀越癪観音〜参拝者感激
役行者ゆかりの和歌山県かつらぎ町堀越東谷の「堀越癪(しゃく)観音」で11月6日、入母屋造りの庫裏(くり)の茅葺(かやぶき)屋根が、50年ぶりに葺替えられつつあり、滅多に見られない光景が参拝者を喜ばせている。
これは橋本市柱本出身で、合同会社・大西茅葺(東大阪市)の大西謙之(おおにし・よしゆき)代表(57)が、葺き替え作業に丹精を込め、11月末には完成予定という。
堀越癪観音=向井聖順(むい・せいじゅん)住職=は、真言宗山階派の寺院。本尊は秘仏・十一面観音像で、役行者が母の腹痛治癒のため彫ったとされ、寺名の「癪」(胸・腹の痛み)を治すという信仰がある。
大西代表は、江戸時代からの寺社・住居の屋根仕事を伝承する6代目。高校・大学時代から父・正信(まさのぶ)さん(故人)に技術を学び、日本建築の貴重な仕事を受け継いでいる。
今回、堀越癪観音の依頼を快諾。8月に着工して連日、3人掛かりで葺き替え作業。11月6日、裏山から見渡すと、茶色く古びていた屋根は、瑞々しく甦っていた。
ここは全国に名高い「串柿の里」で、堀越癪観音は葛城山系の尾根伝いにあり、庫裏の茅葺屋根の清々しさは、紅葉の山々の中に新たな息吹を感じさせている。
マイカーで訪れる参拝者は「神木の大銀杏は、まだ色付いていないが、素敵な茅葺屋根を葺き替える様子を、すぐ眼下に眺めることができた」と、笑顔でいっぱい。
大西代表は「この屋根で働いていると、山々のすがた、鳥の声、澄み切った空気、とてもいいです。ご参拝の方々には、ぜひ、新しい茅葺屋根とともに四季の風景を楽しんでほしい」と話していた。
写真(上、下)は素晴らしい茅葺屋根が出来つつある堀越癪観音の庫裏。写真(中)は合同会社・大西茅葺の大西代表。