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幸願い護摩祈祷・火生三昧!役行者ゆかり堀越癪観音
役行者(えんのぎょうじゃ)ゆかりの和歌山県かつらぎ町堀越東谷の「堀越癪(しゃく)観音」=向井聖順(むかい・せいじゅん)住職=で5月3日、善男善女の願意届けと祈る「柴燈護摩祈祷(さいとうごまきとう)」と、素足で火渡りする「火生三昧(かしょうざんまい)修行」が行われた。
犬鳴山(大阪府)の修験者15人が、堀越癪観音の護摩堂(ごまどう)わき境内に参集。竹を立て、縄で囲んだ結界の中から、修験者の読経の声、法螺貝(ほらがい)の音がとどろき、弓矢や剣で清めの儀式を執行。県内外から約50人の参拝・観光客が見守った。
この日は幸い、心配された驟雨(しゅうう)や旋風(つむじかぜ)もなく、あたりは初夏の照り翳(かげ)り。修験者が大護摩に点火すると、護摩はまたたく間に猛煙に包まれ、赤い火柱が立つと、修験者は善男善女の願文を唱えながら、護摩木を次々投げ込んだ。
さらに「火生三昧」では、修験者が焼け焦げた護摩の丸太を並べ、まだ燃えている灰をまぶして〝火の道〟を敷設。善男善女はいさぎよく素足になり、手を合わせて、火渡り修行に挑んだ。
修験者は柴燈護摩祈祷・火生三昧について、「すべての罪穢(つみけが)れを火で焼き払い、家族安泰、世界平和を祈ることです」と説明。共に般若心経を唱え続けていた。
堀越癪観音は、真言宗山階(やましな)派の寺院で、役行者が母の腹痛を治そうと彫った秘仏・十一面観音像が御本尊。寺名の「癪」は胸や腹の痛みのことで、この「癪」を治してくれるという信仰がある。
柴燈護摩祈祷は、毎年1月17日の伝統行事だが、同観音は険しい山上にあり、冬季は深い雪道になるので平成22年(2010)から、薫風の5月に変更している。
写真(上)は護摩壇の火炎に人々の願意届けと祈祷する修験者たち。写真(中)は護摩壇から立ちのぼる猛煙。写真(下)は火生三昧に挑む参詣者たち。