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漆箔・大日如来坐像や唐櫃♪20日~高野山霊宝館
高野山で最古級の木造漆箔(しっぱく)・大日如来坐像や、発見・既報の木製・五輪塔(ごりんとう)などを紹介する、第40回大宝蔵展「高野山の名宝~きらめく漆工(しっこう)の美~」が、7月20日(土)~10月6日(日)、和歌山県高野町の高野山霊宝館で開かれる。同館の福形安希子(ふくがた・あきこ)学芸員は「漆(うるし)と金が彩る高野山の歴史・文化を味わってください」と言っている。
重文・大日如来坐像(座高98・5センチ)は、仁和3年(887)の造立で、高野山の伽藍西塔(がらんさいとう)ご本尊として創建当初から祀ってきたらしく、一木造りで漆を下地に金箔が貼られている。
国宝・澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃(さわちどりらでんまきえこからびつ)(縦30・5センチ、横39・9センチ、高さ30センチ)は、平安時代後期の漆工芸を代表する名品。蓋(ふた)や側面には、蒔絵(まきえ)と螺鈿(らでん)により、水辺に咲くカキツバタや舞い飛ぶ千鳥などを表し、脚の飾り金具には蝶や小鳥の意匠が施されている。
木製・五輪塔(高さ約9センチ、幅約3センチ)は江戸時代後期、高野聖(こうやひじり)が製作。今年4月、高野山・圓通寺(えんつうじ)の須弥壇(しゅみだん)下から、木箱16個(木製五輪塔・1万数千基)が見つかり、2箱の中から計約500基を展示した。
五輪塔の表面には墨筆を使って「地水火風空」を梵字で表し、底部には願主の住所や名前、仏教の八万四千信仰(はちまんしせんしんこう)」を意味する「八万四千内」と記され、高野聖や庶民の思いが込められている。
今回は令和初の展覧会として、皇室より下賜・奉納された宝物の小特集や、高野山の鎮守社である丹生都比売(にうつひめ)神社(同県かつらぎ町)の天野社絵図や狛犬(こまいぬ)像なども飾られている。
高野山霊宝館の説明では、国宝や重文など計64件(約100点)を出展。前期展(~9月1日)と後期展(9月3日~)で一部展示替え、会期中は無休。
福形学芸員は「今回の目玉は初公開の木製・五輪塔(八万四千宝塔)です。全容解明には今後歳月を要しますが、実物をご覧になり、膨大な五輪塔群の一端を感じてほしい」と話している。
開館時間は午前8時30分~午後5時30分(入館は午後午後5時まで)。拝観料は一般600円、高校・大学生350円、小中学生250円。問い合わせは同館(電話=0736・56・2029)。
写真(上)は重文・大日如来坐像。写真(中)は国宝・澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃。写真(下)は木製・五輪塔(八万四千宝塔)=いずれも高野山霊宝館で展示。解説者は福形学芸員。