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空海は偉大!戦国武将の名宝ずらり~高野山霊宝館
和歌山県高野町の霊峰・高野山に伝わる戦国武将ゆかりの書跡や絵画などを紹介する第39回大宝蔵展「高野山の名宝 もののふと高野山」が、高野山霊宝館で開かれている。前期展は9月2日(日)まで。後期展は同4日(火)~10月8日(月・祝)。
高野山霊宝館によると、高野山は「怨親(おんしん)平等」=敵も味方も平等に慈(いつく)しみ極楽往生を願う=ことから、開祖・弘法大師・空海を慕う多くの戦国武将の品々が伝わり、奥の院には供養塔がある。
武士は平安時代から江戸時代まで続くが、今回は戦国時代に焦点を合わせ、前期展は国宝3件(5点)など45件(66点)を展示した。
国宝を見ると、「豊臣秀吉朱印状」は、秀吉が亡母の遺髪を納める剃髪寺(ていはつじ)建立と、建設費として米1万石を寄付することなどを、木喰応其上人(もくじきおうごしょうにん)=興山(こうざん)上人=に約束した書跡。剃髪寺は青巌寺(せいがんじ)、今は金剛峯寺となっている。
「織田信長朱印状」は、信長が大阪本願寺との〝石山合戦〟に勝ち、高野山に対し、大和国宇智郡(奈良県五條市付近)の支配権を承認。その後、信長との関係が悪化し、信長の高野山攻めが始まる。「金剛吼菩薩(こんごうくぼさつ)像」=五大力菩薩像のうちの1幅=は、秀吉が高野山に寄進。千宝相輪(せんぽうそうりん)を持ち、蓮華座(れんげざ)に結跏趺坐(けっかふざ)した姿。明治の火災で2幅を焼失し3幅が残っている。
重要文化財の「浅井長政(あざいながまさ)夫人像」は、織田信長の妹で浅井3姉妹=茶々(ちゃちゃ)、初(はつ)、江(こう)=の母親像。この絵画は茶々=淀君(よどぎみ)が、父の17回忌、母の7回忌の追善供養の際、祖父像とともに持明院に納めている。
高野山霊宝館の宮地忠大(みやじ・ちゅうだい)学芸員は「お大師様は全ての人々を救うという誓願を立てて、奥の院に入定(にゅうじょう)されました。奥の院には、源平合戦を戦った源氏と平家、川中島の戦いで争った上杉謙信と武田信玄、高野山を攻めようとした織田信長など、お大師様を慕った『もののふの供養塔』が沢山あり、納骨信仰も続いています。数々の名宝をご覧になりながら、お大師様の偉大さを感じて頂けたら」と言っている。
後期展で一部展示替えがある。期間中は無休。開館時間は午前8時30分~午後5時30分(入館は午後午後5時まで)。拝観料は一般600円、高校・大学生350円、小中学生250円。問い合わせは同館(電話=0736・56・2029)。
写真(上)は「金剛吼菩薩像」(縦304・8センチ、横237・6センチ)=五大力菩薩像のうちの1幅。写真(中)は「織田信長朱印状」。写真(下)は「浅井長政夫人像」肖像画などが並ぶ。