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滝行50年ぶり復興!国城日霊の滝~住民ら安泰祈る
和歌山県橋本市清水の国城山(くにぎさん)中腹にある「国城日霊(くにぎひるめ)の滝」で、僧侶や地元住民が集まり、約50年ぶりに滝に打たれる「滝行(たきぎょう)復興祭」が営まれた。白衣姿で滝行に挑んだ造園業・西岡克紘(にしおか・かつひろ)さん(75)は、「神仏崇拝の方々には、ぜひ昔のように、滝行にお越し願いたい」と話した。
この滝は高さ約6メートル、幅約4メートルの石垣状に構築。各所から長くて約1メートル、短くて10センチ程度の糸水となって落水。雨で谷川が増水すると、小さな瀑布(ばくふ)が生まれるらしい。
滝壺付近には「不動明王」の文字だけが残る石像と、邪悪をにらむ不動明王の石像があり、周辺には国城大明神の御社(おやしろ)や、山神(やまのかみ)、弘法大師の石碑が祀られている。
この滝は大正11年(1922)10月、地元住民らの協力により、谷川の段差部分を石垣状に築造。同年11月7日から1週間、出征中兵士の健康を祈って、滝行を執り行ったのが始まり。半世紀前までは、多くの僧侶や信徒の滝行場になっていた。
8月15日「国城日霊の滝」に高野山真言宗の成就寺の木曽泰延(きそ・たいえん)、永楽寺の田野弘樹(たの・こうじゅ)両僧侶や、地元住民10人が参集。全員で清掃し、積もった落葉などを取り除くと、走り根や青苔(せいたい)が輝いた。
やがて国城大明神の前で儀式が始まり、僧侶の読経が響いて、住民らが2拍手1礼し、滝行復興を祈願した。さらに白衣姿の西岡さんと木曽僧侶は、滝の前で不動真言を唱え、九字(くじ)をきって邪悪を払い、滝水に打たれながら、滝行復興と人々の幸せを祈った。
雨上がりの森の中は、蝉しぐれの涼やかな世界。西岡さんは毎年8月15日を「滝行の日」とする方針で、「滝の水は冷たいですが、とても清々(すがすが)しく、滝行には最適です。また、たとえ滝行をしなくても、国城登山の方々には、ぜひこの場所に立ち寄り、心和ませてほしいです」と話していた。
「国城日霊の滝」は、南海高野線・紀伊清水駅前から国城山へ登る途中、左側に立つ「国城日霊の滝(約450メートル)」の案内板が目印。
写真(上、中)は滝行に挑む西岡さん=右=と木曽僧侶。写真(下)は国城大明神に滝行復活と人々の安泰を祈る地元住民ら。