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前畑・古川資料館を閉館!橋本駅前で規模縮小継続
和歌山県橋本市出身で戦前・戦後のオリンピック水泳金メダリスト・男女2人の偉業を伝える、同市橋本の「前畑秀子・古川勝資料展示館」は12月13日、全国の多くの人々に惜しまれながら閉館した。
同館の土地売却予定が理由で、来年1月4日にはJR・南海橋本駅前の「はしもと広域観光案内所」内の一角に移り、規模を3分の1程度に縮小して継続するが、「東京五輪を控え、残念至極」という声が流れている。
前畑選手(1914~99)は、昭和11年(36)のベルリン五輪・女子200メートル平泳ぎで、日本女性初の金メダルを獲得。
古川選手(1936~93)は、昭和31年(56)のメルボルン五輪・男子200メートル平泳ぎで、独自の「潜水泳法」により金メダルに輝いた。
2人は近所同士で、子供時代は、近くの紀の川で鍛錬。卓越した泳ぎで五輪栄冠を獲得すると、全国から喝采を浴び、同市名誉市民に輝いている。
同資料展示館は、東京五輪を控えた令和元年(2019)4月、2人の功績を顕彰しようと開館し、元小学校長の池西孝仁(いけにし・たかひと)さんと、元同教諭の山田勝彦(やまだ・かつひこ)さんが担当。
前畑・古川選手の優勝時の写真や、新聞、お馴染みの「前畑がんばれ」の実況放送など計117点を展示・紹介してきた。
とくに昨年のNHK大河ドラマ「いだてん」で、前畑選手らが登場した反響は大きく、国内外から開館以来1500人超の人々が訪れ、2人の活躍と素敵な山河のある橋本を讃えている。
最終日に同館を訪れた、古川選手と中学校同級生でつくる「26会(にろくかい)」会長で、前畑秀子・古川勝 顕彰活動委員会の宮西高雄(みやにし・たかお)委員や、著名な板画家の巽好彦(たつみ・よしひこ)さんらは、唯々、閉館を残念がり、まちでは「せめて東京五輪終了まで、県立体育館の1室を活用できないものか」などという声も出ている。
池西さんは「この顕彰活動の中で、アスリートだけでなく、すべて一人の人間として、努力、やり抜くことの大切さを伝えられたと思います。どうか今後とも前畑・古川さんの資料をご覧ください」と話していた。
写真(上)は「前畑秀子・古川勝資料展示館」最終日の記念撮影=前列左から池西さん、山田さん、後列左から巽さん、宮西さん。写真(中)は閉館直前の「前畑秀子・古川勝資料展示館」の風景=説明者は池西さん。写真(下)はJR・南海橋本駅前の「はしもと広域観光案内所」。