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丹生都比売神社で平和学ぶ♪妙寺中生が世界遺産体験
和歌山県かつらぎ町教育委員会は5月26日、世界遺産「丹生都比売(にうつひめ)神社」参詣道をのぼる体験学習を実施、同町立妙寺中学校=岡賢司(おか・けんじ)校長=の1年生62人が挑戦し全員、見事踏破して郷土の素晴らしい歴史を体験した。
この日午前8時、妙寺中学校の男女生徒たちが、かつらぎ体育センターを出発。天照大神(あまてらす・おおみかみ)の妹神・丹生都比売(にうつひめ)を祭神とする丹生酒殿神社で、新緑の大銀杏(おおいちょう)などを観覧。
さらに世界遺産・三谷坂を歩いて、歴史的ロマン溢れる「笠石(かさいし)」や三面摩崖仏(さんめんまがいぶつ)「頬切(ほきれ)地蔵」を拝観。険しい杉木立の急坂をよじ登るなどして同11時頃、丹生都比売神社に到着。距離は約9キロ、所要時間は約3時間だった。
丹生都比売神社では、平成の大修復を終えた弁柄色(べんがらいろ)の楼門や本殿、自然豊かな鏡池(かがみいけ)の輪橋(りんきょう)など、その情景を体感しながら、仲間同士で楽しく昼食。午後は日本の宗教の神髄を学んだ。
先ず、神官から手水舎(ちょうずしゃ)で「手水(てみず)の作法」を伝授。楼門内では静かに脱帽して、清らかな心でお辞儀。丹生晃市(にう・こういち)宮司から、日本書記などを例に「神道の神髄」を諭してもらった。
例えば、同神社は約1700年以上前に創建。500年後には弘法大師・空海に対し神領・高野山を貸与。世界的に宗教対立、宗教戦争が絶えない中、真言密教・高野山には神道の「御社(みやしろ)」があり、丹生都比売神社の伝統儀式には、高野山の僧侶が必ず参列。神仏に仕えている。
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関) は、その「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」の世界に冠たる平和思想により、同神社などを含む「紀伊山地の霊場と参詣道」を世界遺産に登録したことを紹介した。
この後、平成の大修理で、檜皮屋根(ひわだやね)の葺き替えや、弁柄色(べんがらいろ)の塗装を終えた本殿(国の重要文化財)を特別拝観。生徒たちは、三谷坂で見た、不思議なかたちの「笠石(かさいし)」や三面摩崖仏(まがいぶつ)の「頬切(ほきれ)地蔵」を含め、郷土に残る歴史の素晴らしさを実感していた。
生徒たちは前日、日本の名高い石塔研究家・木下浩良(きのした・ひろよし)さんから、世界遺産についての「座学」を受けたうえ、このウオーキングに挑戦。同町教育委員会の和田大作(わだ・だいさく)文化財専門員は「きょうはとても暑かったのに、生徒たちは全員、歴史ある三谷坂を踏破、郷土の世界遺産をしっかりと体感してくれました」と喜んでいた。
今年10月には、同町立笠田中学校1年生が、同じ「座学」を受け、同じウオーキングを体験することになっている。
写真(上)は丹生都比売神社・本殿を拝観し丹生宮司から神仏習合の歴史を教わる妙寺中学校の生徒たち。写真(中)は手水の作法を体験学習する妙寺中学校の生徒たち。写真(下)は美しい丹生都比売神社の輪橋をバックに記念撮影する妙寺中学校1年生の一部生徒たち。