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春は名のみ雪♪橋本の山河飾る~太閤の松、万葉の石

春とは名のみ…、高野山麓の和歌山県橋本地方は、立春から6日目の2月10日、平野部にも春の雪が降り、山河ある橋本のまちは、詩情とともに寒の戻りの厳しさを示した。
この日、橋本市の気温は1~3度と冷え込み、平野部で5センチ前後、高野山で50センチ前後の積雪となった。橋本市内の高台から南を見渡すと、紀の川南岸の国城山、その向こうの高野山は、さむざむと雪化粧。午後は日が照り翳りして、たちまち雪を解かしたり、一面白くかすんで激しく吹雪いたり。
奈良時代の高僧・行基(ぎょうき)が開基したと伝わる隅田町下兵庫の利生護国寺(りしょうごこくじ=国の重要文化財)は、白昼の雪に輝き、太閤秀吉が母の3回忌で高野山にのぼる際、馬を繋(つな)いで黒河道(くろこみち)を登ったとされる、名物「駒繋ぎの松」が、枝葉に雪をいただいて、戦国ロマンを漂わせる。
その一方、南海・極楽橋~高野山の間を上下するケーブルカーは、途中、積雪のため動けなくなり、約40人の乗客が閉じ込められた後、タクシーなどで代替輸送。同市三石台の三差路付近や、小原田の旧高野街道では、軽ワゴン車が横転したり、軽乗用車が側溝にはまったり。危険な状態が続いた。
それでも、国城山麓の市街地は、まるで何も起きていないかのように、静かな白銀世界。JR和歌山線のブルー電車は、雪をかぶった水仙の群生のそばを、和歌山へ、五條へと、かたこと往来する。
万葉時代からそのままの形で残る、同市真土の落合川の「飛び越え石」は、激しくふる雪のとばりで、ときどきかすみ、両岸から突き出た二つの巨石は、馬や徒歩で飛び越える、貴族や庶民の幻影があらわれてきそう。
日が暮れると、JR・南海「橋本駅」近くの居酒屋では、酔客の携帯電話が何度も高鳴り、「えっ!高野山はそんな大雪、大変やなあ」「あした大丈夫かいな」などとやりとり。それぞれ慎重な面持ちで暖簾(のれん)の外へ。
残った客は、テレビの天気予報に見入り、「明日もきょうと同じ、寒うて、やっぱり雪か」ともらし、肩をすぼめていた。
写真(上)は雪化粧した橋本市下兵庫の国の重文・利生護国寺の「太閤秀吉 駒繋ぎの松」。写真(中)は国城山をバックに水仙の花の脇を走るJR和歌山線のブルー電車。写真(下)は万葉ロマン漂う落合川の春の雪の飛び越え石。


更新日:2017年2月11日 土曜日 00:00

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