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修験者と市民ら天下泰平祈る~小峯寺、冷たい雨の中

奈良時代の修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が修練したと伝わる和歌山県橋本市小峰台の寶雲山「小峯寺」=拝田賢翔(はいだ・けんしょう)住職=で、冷たい雨が降る3月1日、善男善女の願意を祈る〝柴燈大護摩祈祷(さいとうおおごまきとう)〟が営まれた。
奈良県大和郡山市の薬園寺(やくおんじ)住職で、二實修験道(にじつしゅげんどう)の北野宥範(きたの・ゆうはん)総監や、拝田住職ら10人の修験者(山伏)が本堂に参集し、秘仏・馬頭(ばとう)観世音菩薩をご開帳して御祈祷。
この後、降りしきる雨の中、小峯寺境内の竹と縄で囲んだ結界(けっかい)の中で、修験者は大斧(おおおの)を振り下ろし、剣(つるぎ)を操り、弓矢を射る儀式を挙行。「ブゥオオー」と吹き鳴らす法螺貝(ほらがい)の音を合図に、大護摩に点火すると、火は瞬く間に猛煙を巻き上げ、太い火柱となって燃え上がった。
北野総監は、朱塗りの大傘の下から、他の修験者らとともに、人々の願意を書いた護摩木を、次々と炎の中に投げ入れ、呪文を唱えながら、諸願成就を祈願。結界の外の善男善女も、大護摩に向かって、一心不乱に手を合わせた。
この日は荒天のため、火渡りの「火生三昧(かしょうざんまい)」の儀式と餅まきはあきらめ、それぞれ護摩の炎に向かって読経。拝田住職は参集した約100人の善男善女に「本日は、荒天ですが、それもまたそれ。天下泰平、五穀豊穣でありますように」と挨拶すると、炎に向かって合掌する善男善女の列が続いた。
参加した善男善女は「この寺の大護摩祈祷は、昔ながらの伝統を、そのまま見事に伝えています」「修験者の儀式が素朴で、精魂こもっていて、願意が生かされます」と口々に話していた。
写真(上)は燃え盛る護摩檀と天下泰平を祈願する北野総監。写真(中)は北野総監と拝田住職の前で弓矢を射る修験者。法螺貝(ほらがい)を吹き鳴らしながら登場する朱塗りの傘の北野総監や拝田住職と修験者ら。


更新日:2015年3月2日 月曜日 00:00

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