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連載「橋本を彫る~巽好彦の世界~」その⑦

《町の風呂屋 錦湯》
かつての橋本の町の中には、銭湯が何軒も繁昌していた。幸か不幸か、我が家には風呂があり、私は銭湯の経験がない。そろそろ性に目覚める中学生の頃、クラスの中でその知識にたけた者が、銭湯で番台越しに眺めた女湯の様子を、面白おかしく語るのを、何かしらうらやましく聞いた思い出がある。ここは長らく町の社交場。人と人とが裸でつき合う、人の情の通い合ったところ。その風情が伝わってくる。(注=銭湯は既に廃業している)
《甍 清水》
清水は、高野街道沿いに、立派な家並みが続く集落。その家並みも新しい住宅に建て替えられて、千本格子の縁側のある家も少なくなった。それでも、そのたたずまいは、高野参詣の旅人たちが、昔、往来した街道の面影を漂わせている。表通りは変われども、旧家の重々しい大屋根、煙出しのある小屋根の美しさは、観る者の目を楽しませてくれる。
《ふるさと有情》
紀の川は、橋本にとって母なる川。国城山は誰もが心に宿すふるさとの山。見なれた山と川とに育まれて幾年月。ふるさとのにおいがしみる。その川の流れに沿って、清水の家並みが川面に影を落とす。春夏秋冬、折々の風情をたたえて、人々は自然の恵みの中で、喜びを与えられて生きる。いつしか忘れがたい風景が心に残る。
(木板画・文=日本板画院同人・巽好彦さん)
写真(上)は町の風呂屋 錦湯。写真(中)は甍~清水~。写真(下)はふるさと有情。

更新日:2013年1月7日 月曜日 09:26

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