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幸せ祈る〝護摩木〟〝火渡り〟~橋本の小峯寺

奈良時代の修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が修練したと伝わる和歌山県橋本市小峰台の寶雲山「小峯寺」(拝田賢翔住職)で、3月4日(日)、善男善女の願意を祈る〝柴燈大護摩祈祷(さいとうおおごまきとう)〟と、素足で火渡りする〝火生三昧(ざんまい)法要〟が営まれた。
奈良県大和郡山市の薬園寺住職で二實修験道の北野宥範総監や、拝田住職ら8人の修験者(山伏)が本堂に参集し、秘仏・馬頭観世音菩薩を御開帳して御祈祷。境内に竹を立て縄で囲んで結界を設けた中で、大斧や剣、弓矢を使った儀式を行った後、吹き鳴らす法螺貝(ほらがい)の音を合図に大護摩に点火。火は瞬く間に猛煙を巻き上げ、太い火柱となって燃え上がった。
北野総監は、朱塗りの大傘の下から、他の修験者らとともに、人々の願意を書いた護摩木を、次々と炎の中に投げ入れ、呪文を唱えながら、諸願成就を祈願。結界の外の善男善女も、炎に向かって、一心不乱に手を合わせた。
また、〝火生三昧〟は、この大護摩の熱々の灰を、長さ約3メートル、幅約1メートルに広げて〝灰の道〟をつくり開始。大人も子どもも全員、素足になり、両側の炎の帯の間の〝灰の道〟を、必死で通り抜けた。中には、怖気(おじけ)付いて、修験者に抱き上げられる老婦人もいたが、とくに子どもたちは、なかなかの度胸のあるところを見せていた。最後は〝初午の餅まき〟で締めくくった。
小峯寺は、延宝6年(1678)に鋳造された梵鐘の銘文に「小峯山は奈良時代、役行者が滞在し、修練したところで、小峯寺はこのときに始まる」、また「山は五色の霧が立ちこめることから、山号を寶雲山、小峯寺の名は修験道の霊場・大和国大峯山に対比していう」という意味の文が記されている。
この日の「火まつり」を拝観した人たちは「橋本にこんな素晴らしい修験道の寺があったとは」「六根清浄(ろっこんしょうじょう)と唱え、修行してきた修験者の鋭い気迫に打たれた」などと、口々に話し合っていた。
写真(上)は燃え盛る護摩檀に護摩木を投げ込む修験者。写真(中)は必死で〝火渡り〟をする女性。写真(下)は素足で熱さを我慢しながら〝火渡り〟する子ども。


更新日:2012年3月4日 日曜日 23:16

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