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琉球紅型師・堀内あき作品集出版♪写真&思い出綴る

沖縄伝統の染色芸術・琉球紅型(りゅうきゅうびんがた)の第一人者・城間栄喜(しろま・えいき=1908~1992)氏の愛弟子で、和歌山県橋本市吉原に住む紅型師・堀内あきさん(78)が、「琉球紅型と型染 堀内あき作品集」を初出版した。堀内さんは城間氏の琉歌「七色んみて 布に花咲かち 肝美(ちむじゅ)らさ無蔵(んぞ)に 着して見ぶしゃ(沢山の色を使って、美しく布を染め上げて、心の美しい娘に着せてみたい)」を紹介し、その貴重な教えに謝辞を述べている。
堀内さんは県立橋本高校、大阪教育大・美術学科卒。堺市立中学校で美術を教えた後、昭和55年(1980)に城間氏(国指定無形文化財)に師事。城間紅型研究所で学び、作品は沖縄タイムス展や沖縄工芸公募展などで受賞している。
平成元年(1989)に帰郷後、大阪に「紅藍(べにあい)工房」と染色教室「南風(はえ)」を開き、平成23年(2011)には橋本市の自宅に工房を移転。この間、弟子を育て、女子短大では美術を教え、西日本各地で個展を開いて、琉球紅型の素晴らしさを伝えてきた。
今回、出版した作品集は300冊。カラ―刷り68ページで、約70作品を紹介。例えば「紅藍工房」玄関の看板下に掛けたのれん「阿修羅(あしゅら)」や梅の花の横に飾った壁掛け「鯉のぼり」をはじめ、鮮やかな魚の泳ぐ額絵「サンゴ礁」、座敷に掛けた着物「海藻にフグ」、年賀状「十二支」など、いずれも心洗われる作品を紹介している。
城間氏の後継で城間紅型15代目・城間栄順(えいじゅん)氏は「時を謳歌する堀内君」の題で、堀内さんの入門当初からの様子を綴り、「毎年送ってくれる新鮮なタケノコを食しながら、父・栄喜の仏壇に『相変わらず堀内はしぶとく頑張っていますよ』と報告ができる。弟子を送り出した身には至福の時間である」と記した。
城間紅型研究所の後輩、沖縄県立芸術大学(工芸専攻)の渡名喜(となき)はるみ教授は、「教え子や創作活動を始めた後輩に『基本をがむしゃらに学びなさい。そして自由に表現しなさい』と言って、この堀内あき作品集をさし示すでしよう」と書いた。
堀内さんは「城間栄喜先生、栄順先生との思い出」というタイトルで、職人に大切な道具の使い方や、栄喜先生の口ずさむ琉歌や美しい草笛を聴き、城間先生父子の魚釣りによく同行したことなどを紹介。城間先生の言った「無我の境地の時に閃いて良いものができる」という創案の神髄を述べ、約40年間、失敗や困難を克服できたのは、栄喜、栄順両先生や奥様、従業員のお蔭と謝辞を述べている。
そこには、栄喜先生の作品(着物)をまとった堀内さんと栄喜氏(1980年)、沖縄首里の紅型工房での栄順氏と堀内さん(2019年)、紅型工房で色差し中の堀内さん(1982年)のカラー写真が添えられ、素晴らしい師弟模様がにじみ出ている。
友人で橋本市在住のフォトライター・北森久雄(きたもり・ひさお)さんは「堀内さんの立派な紅型人生と、その作品の数々を眺めることができて、とてもうれしいです」と讃えている。
写真(上、中)は「琉球紅型と型染 堀内あき作品集」で紹介された作品の一部。写真(下)「城間栄喜先生と先生の作品をまとって」=1980年。


更新日:2019年12月3日 火曜日 00:00

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