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岡潔博士のスミレ披露♪作家佐藤さん「心情伝わる」
和歌山県橋本市城山台の作家・佐藤律子(さとう・りつこ)さん(66)は40年以上前、世界的超一級の数学者・岡潔(おか・きよし)博士(1901~78年)が栽培していたスミレを自宅庭で咲かせた。このほど橋本市教育文化会館で開かれたフリートーク交流「岡博士ってだぁーれ?」の席でスミレをお披露目し、「岡博士の心情がこのスミレからも伝わってくる」と、参加者を感激させていた。
橋本市岡潔数学WAVE・副会長でもある佐藤さんは、平成23年(2011)4月、同市教育委員会の依頼を受けて、童話絵本「岡潔博士ってだぁーれ?」を製作・出版。市内の小学生に博士の勉強ぶりや天才ぶりを伝えてきた。
佐藤さんはその出版前後、奈良市内の岡博士宅を訪ねた際、前庭にスミレが咲いていた。長女・鯨岡(くじらおか)すがねさんや、次女・松原さおりさんから「これは父が栽培して、やさしく眺めていました」と教えられ、感激した佐藤さんは、1株いただいて帰り、自宅庭に植えたところ、今では畳1枚程のスペースに株が沢山増え、寒中とはいえ、スミレは美しい紫の花を咲かせている。
佐藤さんは、そのうちの1株を小鉢に移し、フリートーク交流会に持参して、岡博士の偉業を学ぶ10数人の参加者に披露した。寒中とはいえ、スミレは2輪開花し、皆に見つめられて恥ずかしそう。
佐藤さんは「このスミレが、岡博士の眺められていたスミレの末裔(まつえい)と思うと、とてもうれしくなります。これからも大切に世話をしていきます」と話した。
岡博士の母校、同市柱本(旧・紀見村)の柱本尋常小学校の森本弘(もりもと・ひろむ)校長(故人)が残した冊子「岡潔先生のこと」の中で、岡先生は荒廃した戦後の子ども教育について、「花を植えたらいいでしょう。子どもの心から残虐性(ざんぎゃくせい)をなくす、やさしさを身につけるには、花畑をつくり、花を育てさせていく方法がいい」と綴っている。
参加者らは「単に数学だけでなく、自ら花を咲かせ、自ら花を見る、心の教育の大切さ。このスミレから岡博士の心が伝わってくる」と話し、じっと見入っていた。
佐藤さんは2月23日(土)、明治大学駿河台キャンパス(アカデミーコモン3階アカデミーホール)で開かれる「岡潔シンポジウム 紀の国の偉人~世界が認めた孤高の天才数学者~」パネルディスカッションにパネリストとして参加。岡博士の素晴らしさを語ることになっている。
写真(上、中)は佐藤さんが披露した岡博士のスミレ。写真(下)は岡博士のスミレをテーブル上に飾ってフリートーク交流の司会を務める佐藤さん。