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黒河道の写真ずらり♪大阪デザイン学生が冊子飾る
大阪市立デザイン教育研究所(OMCD)=大阪市阿倍野区文の里=の学生たちは今夏、高野山真言宗総本山・金剛峯寺へ登る世界遺産「黒河道(くろこみち)」=和歌山県橋本市~高野町=を歩行体験し、その時に撮影した写真を冊子「OMCD~2018 GUIDANCE(ガイダンス)」の見開き面に掲載した。同研究所の学生たちは「世界遺産・黒河道のデザイン・アピール」に力を入れており、橋本市民は「この取り組みで、きっと大阪など都心部から、大勢の人たちが歴史体験ウオークに来てくれる」と期待を寄せている。
「黒河道」は高野七口の一つで、橋本市賢堂の定福寺(じょうふくじ)~五軒畑岩掛観音~鉢伏(はちぶせ)弘法井戸~明神ヶ田和(みょうじんがたわ)~市平橋(いちだいらばし)~林道合流~久保小学校~茶堂跡~粉撞(子継)峠(こつぎとうげ)~女人堂跡間の約16キロ。
同研究所の塩崎浩之(しおざき・ひろゆき)専任講師ら率いる男女学生6グループ計39人は、今年7月12日、市平橋近くのキャンプ場で一泊。翌13日に出発して、定福寺までの約6・3キロを歩行体験し、途中のさまざまな風景をカメラに収めた。
今回、発行した冊子「OMCD~2018 GUIDANCE」は、A4判30ページのカラー刷り。地域プロジェクト(世界遺産 黒河道プロジェクト)として撮影した関係写真は17、18ページの両面をまたいで掲載した。
真ん中に富嶽(ふがく)三十六景を描いた葛飾北斎(かつしか・ほくさい)タッチの情緒豊かな山岳の絵を据え、そこに「定福寺」や「鉢伏弘法井戸」などポイントごとに〝幟旗〟を記した。
その周囲にはタイトル「森~深い緑に囲まれて~」で小滝や苔(こけ)、「産~自然の恵み~」で柿アイスやはたごんぼコロッケ、「遊~思い出に刻む~」で炎やカレー作りなどを紹介。
「伝~文化と伝統に触れる」で五軒畑岩掛観音や鉢伏弘法井戸、「道~神聖な道を歩む~」で木漏れ日の道、草むらの道、「絆(きずな)~大阪との関わり~」では、木槿(むくげ)の花やハイカーの姿などを配した。
地域プロジェクト(世界遺産 黒河道プロジェクト)として、学生たちは「地域資源と関わりのあるキーワード(自然・環境、民俗学・文化、歴史・大阪との関連、健康・アウトドアスポーツ、情報通信サービス、特産物など)から一つを選択。チームを結成して、新しい価値を見い出し、現代に即した方法で社会の発信することの実際を学びます」と述べている。
この冊子「OMCD~2018 GUIDANCE(ガイダンス)」は、橋本市や伊都振興局、橋本商工会議所の担当者に配布。今後、それぞれの立場から「どうすれば黒河道の歴史・文化を感じてもらえるか」「黒河道トレッキングを楽しくする方法は」などを話し合うことにしている。
観光活性化に努めている紀州高野組子細工師・池田秀峯(いけだ・しゅうほう)さん(71)は「黒河道はデザイン研究を極めるにふさわしい舞台であり、その黒河道にデザイン協力してもらえると、黒河道の魅力が一層増すこと間違いなし」と話している。
写真(上・下)は大阪市立デザイン教育研究所が発行した冊子「OMCD~2018 GUIDANCE」を飾った「世界遺産 黒河道」の絵や写真。写真(中)は鉢伏弘法井戸を体験見学・写真撮影する学生たち=今年7月13日。