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順教尼も讃美の作品展♪支援学校生の書画など見事
両腕を失った障害を克服し、口に筆をくわえて書画を描き、「障がい者の心の母」と慕われた大石順教尼(おおいし・じゅんきょうに=本名・よね=1888~1968年)ゆかりの旧「萱野家(かやのけ)=大石順教尼の記念館」(和歌山県九度山町九度山1327)で11月11日(水)、県内の特別支援学校生の美術・工芸作品を紹介する「順教尼の記念館5周年記念・秋季企画展」が開幕。美術・工芸作品は順教尼が天から讃美しているような秀作ぞろいで、萱野正巳(かやの・まさみ)館長は「常設の順教尼の遺作とともに、ぜひ、生徒たちの作品をご覧ください」と呼びかけている。11月29日(日)まで。入館無料。
九度山町教育委員会が主催、旧萱野家保存会・大石順教尼かなりや会が協賛。橋本市の県立きのかわ支援学校と、和歌山市の県立紀北支援学校の小・中学・高等部の生徒たちが、美術・工芸作品など計約100点を出展している。
例えば、大きな紙にキノコの形に切った紙や、本物のドングリを貼り付けた大作(縦約2メートル、幅約2・5メートル)、クジラの遊泳姿などをあしらったガラス細工の小物入れ、柿に目鼻口をつけたハロウィンの紙作品など、それぞれの感性がにじみ出ている作品。
また、おおらかに墨で竹を描いた掛け軸、布を貼り付けた抽象的な世界、いちごやタケノコ、ブドウなどを描いたドット絵など、心豊かにしてくれる作品ばかり。玄関内の正面には、四角い枠の中に紐状のものを沢山吊るし、紀の国わかやま国体わかやま大会のマスコットキャラクター「きいちゃん」を浮かび上がらせた衝立(ついたて)作品も飾られている。
順教尼は大阪・道頓堀生まれ。17才の時、養父の狂乱により、両腕を切り落とされたが、後にカナリアがクチバシでヒナに餌を与えている姿を見て、「両手がなくても、物事はできる」と悟り、書画の道に邁進。高野山で出家得度した順教尼は、「菩提親」でもあった萱野家に逗留(とうりゅう)、京都・山科の可笑庵(かしょうあん)で、80歳の生涯を閉じるまで、書画の道を究め、身体障害者の社会復帰事業に尽力した。
この旧萱野家は、今年5月の7軒も全半焼する近隣火災により離れを全焼したが、不幸中の幸い、母屋や順教尼の遺作は難を免れ、今は書画作品も展示している。
萱野館長は「仏心を求め、障がい者の社会復帰に貢献した順教尼の心。自らの心を素直に表現している支援学校生の作品。その2つをゆっくりご覧いただきたい」と述べ、九度山町教委の田口勝(たぐち・まさる)教育長は「県内に計12校の特別支援学校があるので、当記念館を将来、障がい者の作品発表の拠点にしたい」と話している。
同館の開館時間は午前10時~午後4時半(入館は同4時まで)。同展期間中の休館日は11月11日(火)、同24日(火)。場所は南海高野線・九度山駅から徒歩7分。問い合わせは旧萱野家(電話=0736・54・2411)。
写真(上)は特別支援学校生の作品を讃える萱野館長。写真(中)は支援学校生の作ったガラス細工の小物入れ。写真(下)は支援学校生の書画作品などの数々。