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順教尼や幸村と「青蓮」遊ぶ♪時広さんの舞台衣装で
戦国時代には日本一の兵(ひのもといちのつわもの)・真田幸村、明治~昭和時代には障がい者の母と慕われた大石順教尼(おおいし・じゅんきょうに)が暮らした和歌山県九度山町にある「大石順教尼の記念館(旧・萱野家)」で、1月22日、世界的オールラウンド・アーティスト・舞台衣装デザイナーの時広真吾(ときひろ・しんご)さんによる舞台衣装展「仰ぐ月 翠(みどり)の息」が開幕。時広さん専属の「青蓮(せいれん)」なる特別パフォーマーが、時広さんのオリジナル衣装を身にまとって、幸村や順教尼と戯れるかのように舞いを繰り広げ、観覧者の心を魅了した。
時弘さんはタイトル通り「月光の流れるような」白っぽい衣装や、同記念館が高野山の里寺「環翠軒(かんすいけん)」であった名の通り、「翠(みどり)したたるような」艶やかな衣装をデザインして制作展示。その初日に特別パフォーマンスを披露した。
会場は、真田家の家紋「六文銭」組子などがあしらわれている欄間、昔ながらの紙障子の和室で、舞台8畳、客席8畳。同館に関係の深い約10人が観覧した。
順教尼が子供をあやす子守歌の流れる中、特別パフォーマー「青蓮」が、小面(こおもて=若くかわいい女の能面)と、雅やかな衣装に身を包んで、静々(しずしず)と登場。ひとしきりうつむき、やがて仰ぎ、息を吸うて、想いを残しながら去る。次には奥行きのある声明(しょうみょう)が流れる中、薄青いリアルな仮面姿で現れた「青蓮」が、妖艶な空気を漂わせながら、ひとしきり舞い、ゆっくりと消えた。
時弘さんは「九度山の地は、幸村や順教尼が過ごした里。私たちも、ここにいるということは、幸村や順教尼と縁(えん)があるのですね。青蓮は、順教尼や幸村に、衣装を奉納したのではなく、この部屋で、幸村や順教尼と遊んだという風に理解してください」と解説。観覧者を頷かせていた。
この「舞台衣装展」は1月25日(月)まで。時間は午前10時~午後4時。入場無料。25日午後2時からも「エンディング・特別パフォーマンス」がある。
時広さんが総合プロディーサーを務める第3回「美の種in和歌山」は、今年も9月24日に和歌山市で開催。タイトルはまだ決まっていないが、ピアノ、声楽、日舞、化粧、ヨーガ、詩吟など、県内の各専門家が出演。その前には、改めて順教尼の記念館で、衣装展を開催して、アピールする予定。
萱野正巳(かやの・まさみ)館長は「時広さんの舞台衣装は、こんなに身近には、滅多に見られません。ぜひ、お越しください」と言っている。
写真(上)は小面と艶やかな衣装姿で舞う「青蓮」。写真(中)は訪れた女性たちに衣装説明する時広さん。写真(下)は仮面姿で踊る妖艶な「青蓮」。