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汗と涙の自叙伝・朗読会~障害者支援・田倉さん讃える

和歌山県初の障害者療護施設「リハビリ橋本」(橋本市柱本)を創設した、社会福祉法人・ゆたか会の田倉妙子(たくら・たえこ)理事長(86)が執筆した自叙伝「笑顔に支えられて~涙と汗の奇跡~」の朗読会が、6月28日、同施設で開かれた。出席した平木哲郎(ひらき・てつろう)市長や県議、市議、福祉関係者ら約300人は、改めて田倉理事長の波乱万丈の人生と、障害者療護に貢献する心意気を受け止め、大きな拍手を送っていた。
田倉理事長は昭和58年(1983)5月、社会福祉法人として県内初の障害者療護(現・支援)施設「リハビリ橋本」を開設した。今は長女の上好久子(うえよし・ひさこ)さんが施設長、二女の宮井慶子(みやい・けいこ)さんが音楽療法を担当。介護士、看護師、事務職など計約60人で運営し、約100人の介護支援に尽くしている。
自叙伝「笑顔に支えられて~涙と汗の奇跡~」はA5判、191ページ。そこでは、かつらぎ町出身の田倉理事長が、笠田高等女学校を卒業。昭和22年(1947)に橋本市慶賀野の材木商・田倉豊(たくら・ゆたか)さんと結婚。豊さんは同49年(1974)に古里で〝温泉掘削〟に挑んだが、心筋梗塞で急死。田倉理事長は、その悲しみを乗り越え、冷泉加温・ろ過・循環式の保養センター「紀伊見温泉 ゆたか荘」を開設。さらに奮起して、障害者療護施設「リハビリ橋本」を創立したことなどを紹介している。
また、施設開設・運営の苦労話だけでなく、田倉理事長が妙寺尋常小学校に通っていた頃、プール完成式に、郷土出身で日本女性初のベルリンオリンピック水泳200メートル平泳ぎ・金メダリストの前畑秀子(まえはた・ひでこ)さんが来賓で出席。
全国水泳大会・自由形で優勝していた田倉理事長は、この時の「模範演技児童」に選ばれ、扇子2本を持って泳ぎながら、プール中程で待つ前畑さんに近づき、背泳ぎ中の前畑さんの両足の指の間に、扇子を広げてはさんだという、歴史的な経験も綴られている。
この日、先ず開会挨拶に立った橋本市国際親善協会の後藤加寿恵(ごとう・かずえ)会長が、「運は自分で運ばなければ、運は開けないと書かれた田倉理事長。まさに昭和の女性史そのものです。一生青春であられますように」と讃えれば、平木市長は「紀の川で心身を鍛えたうえ、前畑さんと模範演技を実践した貴重な経験が、施設開設の力になったのでしょう。行政も障害者や高齢者が安心できるように頑張りたい」と誓った。
また、橋本市社会福祉協議会の中西健(なかにし・たけし)会長は、「この施設の職員方は、いつも明るく私たちを迎えてくれます。そこには確かに田倉理事長の誠実と奉仕の心が浸透しています」と述べ、国際ソロプチミスト和歌山紀北橋本会の平井節子(ひらい・せつこ)会長も「ご主人亡き後、施設開設を目指して、官公庁相手に艱難辛苦(かんなんしんく)を舐(な)めつくされた、まさに女傑というべきお人柄。いつまでもスターでいて下さい」と祝辞を贈った。
本番では、田倉理事長が前文朗読と謝辞を述べ、上好施設長の友人の岸淵香澄(きしぶち・かすみ)さんと柿久保真実(かきくぼ・まみ)さんが、田倉理事長の「一代記」を歯切れよく、心情を込めて朗読すると、戦争、肺結核、夫の他界など、悲嘆にくれる場面では、目頭を押さえる人もいた。田倉理事長の友人で、シベリア抑留体験者の阪口繁昭(さかぐち・しけあき)さんは(87)は、「前畑さんと模範演技をした歴史的な話、施設開設のために東京まで1日2往復もし、ついには失神したという苦労話など、すべてに感動致しました」と感想を述べた。
次に、ステージはガラリと雰囲気が変わり、地元では演歌・踊り上手で知られる伊都美津子(いと・みつこ)さんが、艶やかな着物姿で登場して「君の名は」を歌う、中西会長らがデュエットで「銀座の恋の物語」を歌うなど、70歳以上の高齢者には昔懐かしい昭和歌謡の数々を披露すると、会場から「うまいな」「たまらんな」などと、拍手が起きていた。
最後に田倉理事長のひ孫で小学校5年生の悠芽(ゆうめ)ちゃんから、田倉理事長に祝辞と花束が贈られ、さらに橋本市社会福祉施設連絡協議会の向井嘉久蔵(むかい・かくぞう)会長の乾杯の音頭で、食事・懇親会が催されると、それぞれ社会福祉施設の重要性や、貢献の大切さなどを語り合っていた。
自叙伝についての問い合わせは「リハビリ橋本」(電話=0736・37・5800)へ。
写真(上)は挨拶する田倉理事長。写真(中)はひ孫の悠芽(ゆうめ)ちゃんから祝辞・花束が贈呈される田倉理事長=右端は悠芽ちゃんを補佐する宮井さん。写真(下)は「君の名は」を歌う伊都美津子さん。

更新日:2015年6月29日 月曜日 00:00

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