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雪の高野山、参拝者続々~桜朽木にはシャクナゲ
和歌山県高野町の世界遺産・高野山(標高約850メートル)は、1月12日、下界と違って小雪が舞い、森も塔頭寺院(たっちゅうじいん)も一面、銀世界を呈した。
高野山真言宗総本山・金剛峯寺は、さすがに下界で成人式が開かれているためか、〝新成人〟らしい姿は見られなかったが、本山前の駐車場は、他府県ナンバーの観光バスやマイカーで満杯。高野山開創1200年の新春のめでたい雰囲気を漂わせていた。
この日、正午頃の高野山の気温はマイナス2度の寒さ。雪雲の間から、日が照り翳りし、小雪が風で横になびき、金剛峯寺の檜皮屋根(ひわだやね)も、境内の池も積雪で真っ白で、係員がスコップなどを使って雪かき作業。そこへ家族連れや団体客が次々と現れては般若心経を唱える。
一方、近くの壇上伽藍の入口に完成した中門や、その正面の厳かな金堂、朱塗りの根本大塔も、美しく雪化粧。参拝・観光客は、鐘楼の「高野四郎」(大塔の鐘)が、いんいんと響くたびに、白息(びゃくそく)を吐き、手を合わせていた。
また、金剛峯寺の境内の隅では、腐敗した桜の老木の切口に、数本のシャクナゲ(石楠花)の若木が根付き、きれいな葉さえ茂らせている。山麓の橋本市隅田町から訪れた「玉川峡を守る会」会長の上西進(うえにし・すすむ)さん(77)は、「高野山はシャクナゲの山で、金剛峯寺も、金剛三昧院も毎春、シャクナゲで満開になります。この桜の朽木(くちき)にシャクナゲの若木とは、まさに今春の高野山開創1200年大法会にふさわしく、生長・開花が楽しみです」と、にっこり見上げていた。
写真(上)は白銀世界の高野山・金剛峯寺。写真(中)は金剛峯寺境内の桜の朽木に根付いたシャクナゲの若枝。写真(下)は雪景色の朱塗りの根本大塔=雪の境内には杉檜が陰を落とす。