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戦争はしない~平和の鐘、山河に響く~橋本・徳明寺
終戦記念日の8月15日、和歌山県橋本市の橋本ユネスコ協会=辻本徹(つじもと・とおる)会長=主催の第25回「平和の鐘を鳴らそう」が、同市岸上465の浄土真宗「徳明寺(とくみょうじ)」=木全満知子(きまた・まちこ)住職=で行われ、参列した善男善女約30人が、戦没者の冥福と世界平和を祈った。
辻本会長が主催者挨拶の後、平木哲朗(ひらき・てつろう)橋本市長が「戦没者の方々に哀悼の意をささげ、皆様とともに恒久平和を築きたい」と誓って、橋本ユネスコ協会の日頃の平和活動に謝辞を述べた。
木全住職が鉦をたたき読経の後、参列者一人ひとりが、同寺境内の鐘楼(しょうろう)に登り、撞木の紐(しゅもくのひも)を握って、梵鐘(ぼんしょう)を一突きすると、鐘の音はいんいんと、近隣の山河に響き渡り、善男善女は深々と頭を下げていた。
本堂では、コミュニティー放送局「FMはしもと」の中野豊信(なかの・とよのぶ)報道部長が昨年夏、橋本駅で米軍機・機銃掃射で6人が犠牲になった市民証言を取材・編集・放送した「橋本駅 機銃掃射の記憶」(CD)と、木全住職が、中国で転戦した兵士・大谷春治(おおたに・はるじ)さん(94)=高野町高野山=の、九死に一生を得て帰国した、汗と涙の体験談を収録した録音テープを披露。参列者は改めて戦争の悲惨さと愚かさ、平和の尊さをかみしめた。
この行事は、同協会が1990年から開始。毎年、終戦記念日に開き、市内の神社仏閣をめぐり、参加者の「鐘撞き」と、戦争体験者による「講話」を続けてきた。
同協会の後藤加寿恵(ごとう・かずえ)事務局長は「今では、平和の鐘を鳴らそうという行事は、和歌山市など県内各地で盛り上がっています。心から戦争のない世界平和を祈ります」と話した。
写真(上)は徳明寺の鐘楼で平和の鐘を鳴らす後藤・事務局長。写真(中)は徳明寺・本堂で「橋本駅 機銃掃射の記憶」を取材・編集した中野部長を紹介する辻本会長。写真(下)は徳明寺の鐘楼と「平和の鐘突き」の順番を待つ人々。