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元JRマン岡谷さん~有機農業楽し~電車も見えて
元〝JRマン〟の岡谷孝さん(65)は定年退職後、大好きなJR和歌山線の電車が見える、和歌山県橋本市東家2丁目の自宅北側の田んぼで、〝生ごみ堆肥による農業生活〟を楽しんでいる。「こんな退職後の人生は、どこにでもあるので、話題にもなりません」と謙虚に言いながら、「でも、安全安心な野菜や果物は、家族が喜んでくれます。自分も快汗を流して健康をもらえますしね」と、にっこり、煙草をくゆらせた。
岡谷さんは昭和42年(1967)3月、旧国鉄(現JR)職員となり、同62年には大阪府の鳳電車区助役、平成12年から3年間は、郷里の橋本鉄道部長を務め、和歌山線の和歌山駅(構内除く)〜五條駅(同)間の全業務の指揮を執った。その後、JRグループ「ホテルグランヴィア」(和歌山市)のホテル部長、営業部長を務めて昨年9月に退職した。
岡谷さんの田畑は、両親から受け継いだ約2000平方メートル。夏から秋にかけては、キュウリ、トマト、ナス、ニンジン、ネギ、ブロッコリーなど約10種類を栽培していて、田畑には見事な柿やビワの木もある。
肥料は自宅の生ごみを3基のコンポストで堆肥化。これを使って、農薬は極力使わない。午前5時頃から正午まで、草引き、水やり、摘果(てきか)、摘蕾(てきらい)など、丹精込めて働く。
北側の5メートル程の高台を、JR和歌山線が通っており、往来する電車の運転士は、当然のことながら、後輩で顔見知り。乗客の中にも友人知己は多い。田畑に設けたパラソルの陰から、愛着の深い電車を眺め、約45年間の国鉄・JR人生を振り返ることもあるという。
岡谷さんは夫婦二人暮らし。収穫した野菜や果実は、隣に住む二女夫婦と孫2人、市内に住む長女夫婦と孫2人、和食調理人の長男、さらにご近所や親類宅に配る。すると「やっぱり有機野菜はうまい」「元気をもらえそう」と喜んでくれる。
また、初夏にはイチゴが結実。イチゴは最初にホワイト、次にグリーン、最後に赤くなる。岡谷さんは「畑で孫娘(4歳)に白いイチゴを見せたら、〝イチゴは赤いよ〟と言う。グリーンに変わった実を見せたら〝これも違う〟と言う。最後に赤くなった実を見せると〝これがイチゴよ〟と納得し、おいしいと言って、食べてくれました。それと同時に孫娘は、イチゴとは成長過程で、色が変わることに気付いてくれたんですよ」と喜ぶ。
最近は毎週2日程、南海高野線・林間田園都市駅周辺のマンション管理人として働いていて、住民の細かな依頼、要望にも対応。「人間いくつになっても人々と交流し、人々のためになりたいものです」と語った。
写真(上)は有機栽培の茄子を披露する岡谷さん。写真(中)は畑を耕す岡谷さん。写真(下)はパラソルの陰で一服する岡谷さん。