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健康長寿は〝音楽療法〟で…声楽家・多田さん
〝健康長寿〟をめざすリフレッシュ講座「楽しく音楽療法で活き活きと」が、ボランテイアグループ〝和歌山音楽療法研究会〟会長の多田佳世子さんを講師に招いて、5月29日、和歌山県橋本市の橋本地区公民館で開かれた。多田さんは多くの音楽家を育てている声楽家で、その美しい歌声と、底抜けに明るいユーモアで、約50人の参加者を魅了。「体も心もほぐれました」と喝采を浴びていた。
同研究会は、阪神淡路大震災が起きた平成7年(1995)に創設され活動。約100人の会員が、県内約20か所の病院、高齢者福祉施設などで〝音楽療法〟を実施している。
その活動は「予防医学」の立場から、ピアノ、太鼓、鳴子、タンバリン、トーンチャイムなど、様々な楽器を使い、「歌う」「演奏する」「聴く」の3要素を活かして、脳を活性化させ、精神や身体機能の障害を取り除き、老化防止を図っている。
橋本地区公民間の大居満佐子館長が、数年前、和歌山市内で多田さんの講義を受けた際、そのおおらかな人柄と、音楽療法の素晴らしさに感服。今回、講座を企画して、多田さんに依頼、快諾してもらった。
この日、多田さんは、同研究会会員の宮井愛子さん(京都芸術大学ピアノ科卒)と、旭美好子さん(大阪芸術大学声楽科卒)をアシスタントに伴い登場。
多田さんの指導、宮井さんのピアノ伴奏で、参加者らは「みかんの花咲く丘」「鞠(まり)と殿様」「鉄道唱歌」「知床旅情」「青い山脈」などを合唱。歌いながら〝グー、チョキ、パー〟の指体操をし、スカーフを振り、新聞紙で鞠を作り、楽器を演奏するなどした。多田さんは「指運動は脳を生き生きさせるし、歌うときの発声、発語の仕方で、顎(あご)や舌、唇の筋肉が鍛えられます。懐かしい歌を思い出しながら歌うと、脳の記憶を呼び覚ますパワーがつきます」と説明した。
また、「一日に6秒間、笑いなさい。ウフフとか、エへへはいけません。笑うときは豪快に、ワッハッハーです。笑う門には、はい、福きたるですね」などと、軽妙な口調で語りかけながら、会場を爆笑の渦に巻き込んでいた。
受講した60代の男性は「とても楽しかった。この調子で、人生を大切にします。楽しく歌を歌い、しっかり笑えば、長生き間違いなし、私が保証します」と話し、大居館長も「音楽療法を当館で企画・実現したいという、長年の夢が叶いました」と大喜び。多田さんは「同じ長生きするにも、やはり健康が第一ですね。長患いしないように、皆さん、普段から〝音楽療法〟を実践してください」と強調。参加者一人ひとりと握手を交わしていた。
写真(上)は音楽に合わせ歌いながらスカーフを使って上肢体操をする参加者ら。写真(中)は、歌いながら参加者同士で仲良く手遊び。写真(下)は太鼓などの楽器演奏を指導する多田さん。