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鵜の襲来を〝糸張り〟でアマゴ防衛~玉川峡

渓流釣りの本場として名高い和歌山県橋本市、高野町、九度山町を流れる玉川峡(紀伊丹生川)で、このほど川魚の天敵・鵜(う)の襲撃を防ぐ〝糸張り作業〟が行われた。玉川漁業協同組合の上西進組合長は「鵜は頭が良いいが、さすがに川面の糸が怖いと見えて、効果があります」と言っている。
糸張り作業は、組合員がリール付きの釣竿(つりざお)と、テグス、それに、長さ約10センチ、直径約7センチに輪切りにして、切れ目を入れた樫(かし)の木の重しを用意。
その〝樫の重し〟を釣竿の糸の先にくくりつけて、磯釣りでもするように、こちらから玉川の向こう岸に投げる。樫の重しが、ビューんと風を切って、対岸の木の枝に引っ掛かると、リールを巻いて糸を手繰り寄せ、ピーンと張ったところで、手元の糸を木の枝にくくりつけて仕上がる。
〝糸張り作業〟は橋本市の犬戻り~河合橋の約6キロ間の同川(最長幅約80メートル)で行われ、テグスは約20メートル間隔で張りめくらされた。
テグスは、よほど目を見開いて、しっかり見ないと、確認できないほど細いが、時々、不気味に光を放つ。鵜は〝糸張り〟を知らずに、川魚に向って舞い降りようとすると、糸に引っ掛かるので、ことさらに怯(おび)えるという。
玉川峡では、2月13日にアマゴの成魚(17~20センチ級)8000匹を放流。3月4日にアマゴ釣り解禁。6月には、約3万匹のアマゴの稚魚を放流する予定だ。
組合員は「ふだんは、玉川峡に鵜はいません。しかし、玉川峡にアマゴやアユを放流すると、一山越えた紀ノ川で棲息する鵜の群れが、それに感づいて、支流の玉川峡まで大挙して飛来します。それでもこのように糸を張りめぐらすと、さすがに近寄らなくなります」と話していた。
写真(上)は、樫の重しを釣り糸の先に取り付けた組合員。写真(中)は、糸張り用に樫の木を切って作った重し。写真(下)は釣竿で樫の重しを投げる組合員。


更新日:2012年3月15日 木曜日 21:18

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