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月の下で〝東家の盆踊り〟~老若男女楽しく
毎晩のことながら、居酒屋から一人帰る。その途中、月の西下の方角から、威勢のいい河内音頭がきこえてきた。ここは紀ノ川にそそぐ橋本川の松ヶ枝橋の上。あの音頭は、夕方、居酒屋へ行く途中、大和街道沿いの、旧家の軒下の、チラシで見た〝東家の盆踊り〟だ。「いっぺん見学に…」と、足は、自ずとそちらへ向いた。
盆踊りの舞台は、和歌山県橋本市東家の橋本小学校の運動場。そのど真ん中に櫓(やぐら)を組み、四方に真っ赤な提灯(ちょうちん)が連なっている。櫓の上では、若者グループがギターや太鼓にあわせて音頭をとり、提灯明かりの下では、ゆかた姿の老若男女が、手先も腰つきも、しなやかに踊っている。音頭の調子が上がるにつれて、踊りの輪も次第に増えた。
「やあやあ、きてたんかいな」と、提灯の下にあらわれたのは、主催者側の70代の人生の先輩。「なかなか楽しそうですねえ」と返すと、「そうそう。夏はやっぱり盆踊り。この小学校は、もうすぐ橋本中学校と統合され、校舎はなくなりますが、運動場は残ります。この東家の盆踊りは続きますよ」と教えてくれた。
櫓から少し離れたテントでは、金魚すくいや風船釣り、焼き鳥などの店が出て、ゆかた姿の子供たちで大賑わい。おもえば、今は車椅子生活の妻とも、社会人になっている息子とも、一緒に踊ったことがない。独身の頃は、いやというほど踊りまわっていたのに…。
盆踊り指しなやかに月をさす (水津順風)
更新日:2011年8月7日 日曜日 22:31