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園児の書「わ」被災地へ~北村先生ら「元気」祈る
東日本大震災の被災地に、子どもたちの書いた「わ」という文字を届け、元気になってもらおうと、和歌山県橋本市妻の書道教師・北村友美さん(40)は、自分が卒園した同市原田の市立橋本東保育園の5歳児13人に習字を教え、7月28日、園児たちの見事な作品が完成した。北村さんは「とても上手に書けたので、子どもたちの思いが、被災地に届くと信じます」と話した。
北村さんは、教室の床にブルーシートを敷き、その上に、和紙2枚を重ねた2層紙と、やや薄めた墨汁、7本程度束ねた筆を用意。まず、絵本の中の「わにさん わらってよー」の歌を歌いながら、みんなで体操して体をほぐした。この後、園児たちは、北村先生に教わった通り、からだ全体を使って、和紙いっぱいに、筆をはこぶと、それぞれ元気で個性的な「わ」という文字ができあがった。
園児たちは、6月末から北村さんの指導を受け、必死で練習してきた。書を習うのも、平仮名を覚えるのも、生まれて初めてだが、この日、「わ」の文字の下には、丁寧に各自の名前も書いた。北村さんは、園児たちの作品を、岩手県宮古市のボード会社から寄贈されたボードに貼り付け、花のリボンを付けて、橋本市ユネスコ協会を通じ、被災地の仮設住宅へ送るという。
担任の山本敏子先生は「子どもたちは大地震・大津波のことを知っています。そこに自分たちの習字が届けられることを知ったうえで、懸命に習字に励んできました」と話し、前谷明子園長も「とても得がたい経験をさせていただきました」と喜んでいた。
「わ」という文字を選んだことについて、北村さんは「わは、和歌山の、和でもあるし、古くは日本を表す、和でもあります。それに、輪になってとか、和やかにとか、どこかチームワークのイメージがありますから」と説明。「私の方から、ぜひにとお願いして、子どもたちに書いてもらいました。被災地の方々には、子どもたちの元気、思いを受け止めていただけると信じています」と話した。