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初冬の十五社の樟樹♡無数の実〜心癒す樹下ベンチ
近畿最大級の楠とされる、和歌山県かつらぎ町笠田東の県天然記念物「十五社の樟樹 (じごせのくすのき)」が、今、無数の黒紫の実におおわれ、初冬の情趣を繰り広げている。
この樟樹は、町立笠田小学校の北側に聳え立ち、推定樹齢600年以上、樹高約20メートル、幹回り13・5メートルという、とてつもない大きさ。
とくに根元付近は、1本の楠なのに、まるで4本の楠が立つかのように分かれていて、梢(こずえ)まで艶やかな緑葉に覆われ、実は黒紫に熟して、冬日を浴びている。
実は人の食ではないが、野鳥がしっかり食べて、種子散布を果たすという。
樹下の妙楽寺・薬師堂には薬師如来を安置。昔は樹名の「十五社明神」もあって、それが樹名となったらしい。
笠田小学校は明治8年(1875)、江戸時代に寺小屋を開いた同寺に創立。多くの子供たちが、初夏に咲く白い花や、初冬に熟す実を眺めて、力強い命を体感してきたに違いない。
今は樹下に木製ベンチが設けられ、ここに座るだけで、新型コロナなど、直ちに退散してくれそう。
同県新宮市出身の作家・佐藤春夫は、笠田小学校の校歌を作詞しており、そこに「十五社の樟樹」を詠んでいる。以下は笠田小校歌である。
1、笠田の里よ わがまちよ 葛城山の 山すそに
十五社(じごぜ)の森を とりめぐり 人むつまじく 栄えゆく
2、大樹の樟(くす)よ わが庭よ 千年(ちとせ)の命貴(とうと)しと 十五社の森の 下かげは 至誠(まごころ)の児童(こら)集うなり
写真(上)は県天然記念物「十五社の樟樹」。写真(中)は樟樹の黒紫の実。写真(下)は「十五社の樟樹」の巨大な根元部分の幹。
更新日:2020年11月16日 月曜日 00:00