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大畑才蔵・学習ツアー♪国交省表彰~水の里の旅評価
和歌山県橋本市生まれの江戸時代の天才土木技師「大畑才蔵(おおはた・さいぞう)」と、才蔵が開発した「小田井(おだい)用水路」(世界かんがい施設遺産)をテーマにした学習・観光ツアーが、国土交通省主催の「〝水のめぐみ〟とふれあう水の里の旅コンテスト2019」で、一般部門奨励賞と特別賞を受賞することに決まった。
大畑才蔵(1642~1720年)は伊都郡学文路村(現・橋本市)出身。元禄9年(1696)に紀州藩の要請で役人となり、藩財政再建に向けて新田開発に取り組んだ。
紀の川筋=橋本市高野口町、かつらぎ町、紀の川市(旧・那賀町・粉河町・打田町)、岩出市の旱魃(かんばつ)田地を潤す、長大な小田井(おだい)用水路(総延長32キロ)などを完成させた。
才蔵は高低差を測る水盛台(みずもりだい)などの優れた測量機器を開発。紀の川に注ぐ幾つもの支流の下を、サイフォン方式で水をくぐらせる「伏越(ふせこし)」や、川の上に橋を架けて水を流す「渡井(とい)」などを構築し、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を成し遂げた。
これら才蔵の偉業を知ってもらおうと一般社団法人・高野山麓ツーリズムビューローは今年10月、その歴史的ポイントを巡る初ツアーを企画。小田井土地改良区や大畑才蔵ネットワーク和歌山、初桜酒造の協力を得て実施した。
参加者一行は「大畑才蔵 生誕地碑」前で才蔵の業績を聴き、「龍之渡井(たつのとい)」「小田頭首工管理橋の内部」「初桜酒造の酒蔵」などを巡り、水盛台を使っての特別・測量体験などに挑み、楽しい一日を過ごした。
今回、国交省の「〝水のめぐみ〟とふれあう水の里の旅コンテスト」では、奨励賞に加え特別賞(観光庁観光資源課長賞)も受賞することになり、「単なる旅行ではなく、学習という切り口で治水、河川工事の歴史を、現地で学べたのは面白い。長期的に開催できる企画といえる」などと講評を得ている。
表彰式は12月10日、国交省大会議室で行われる。今回のツアー企画で、才蔵の歴史調査などに働き、高野山麓ツーリズムビューロー職員として表彰式に出席する櫻井大智(さくらい・だいち)さんは、「才蔵の偉業はもちろん、この300年間、自然災害を受けながらも、用水路を維持管理してきた先人の功績もすごいです。できれば来年夏もツアーを続け、とくに小中学生に体感してほしいです」と話している。
写真(上)は国重要文化財・龍之渡井の見学風景。写真(中)は小田頭首工管理橋の内部特別見学。写真(下)は水盛台の測量体験風景=いずれも高野山麓ツーリズムビューロー提供。