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子ども心育む1枚の100円玉♪落とした?大丈夫!

5月27日夕刻、和歌山県橋本市古佐田で、男の子が排水溝に100円玉を落とし、悲しんでいるのを、通りがかりの高齢者が見つけ、「大丈夫、さあこれを」と言って100円玉をあげると、男の子は「ありがとう」と頭を下げ、笑顔を取り戻した。この話を聴いた元・小学校教諭・伴弘己(ばん・ひろみ)さん(75)は、「たとえ100円玉は少額でも、子ども心にとっては貴重です。きょうの高齢者のやさしさ、一生忘れないでしょう」と話し、この小さな話題を讃えていた。
現場はJR・南海橋本駅の西の踏切の南側。近くの飲食店へ行く途中の80歳代の男性が、道の真ん中で、一人で泣き出しそうになっている、小学校1年生ぐらいの男の子に出会った。
すかさず、「ぼく、どうしたの」と尋ねると、排水溝に「100円玉を落とした」と言う。そばに珈琲やジュースなどの自動販売機があるので、どうやら飲み物を買おうと、ポケットから取り出した100円玉1枚を落としてしまったらしい。
高齢者が排水溝を覗き込むと、金属製の格子状のフタの底に100円玉が光っている。「ほんまやなあ。でも、心配するな。さあこれ持って帰り」と100円玉を差し出すと、男の子は救われたように、両手で受け取り、元気に去って行った。
飲食店のカウンターで、この話を聴いたのは伴さん。即座に「すばらしい」と言って立ち上がり、排水溝のフタのネジを、必死で指で巻いて、重い金属製のフタを開ける。100円玉を拾い上げた後は、もちろんフタを元通りにし、お店に戻った。
伴さんは「いくら100円玉でも、もったいないから、拾い上げてきたよ」と言って、高齢者に渡そうとすると、「いやはや、一旦、あげたものを…。そうや、世話になってる、このお店に奉納するわ」と話し、他の客もにこにこ相槌(あいづち)を打って1件落着となった。
この高齢者は、猫の目から見ても格段やさしいらしく、普通、人から遠ざかる猫が、巷(ちまた)でも簡単に近づいてきて、よく頭や喉をなでてもらう。伴さんもまた、大阪の小学校教諭を退職後は、橋本の社会福祉施設で高齢者に奇術を披露したり、こども食堂の盛り上げに貢献したり。
今回の〝100円玉騒動〟について、伴さんは「誰でも小さなことは見捨てがちですが、実はそこに大切な意味が秘められているのでは。あの子供は、たった1枚の100円玉で、高齢者の心を感じることが出来たのですから」と話していた。
写真(上)は男の子が落とした100円玉=排水溝からやっと取り戻した。写真(中)は排水溝から100円玉を取り戻す伴さん。写真(下)は100円玉はこの金属製フタの格子状の隙間から排水溝の底に落ちた。


更新日:2019年5月28日 火曜日 00:00

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