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大天狗!渡御の列鮮やか~丹生都比売神社・花盛祭
和歌山県かつらぎ町上天野の世界遺産「丹生都比売(にうつひめ)神社」=丹生晃一(にう・こういち)宮司=で、4月15日、祭神に花を供えて春の訪れを祝う、恒例の「花盛祭(はなもりさい)」が開かれた。
同神社は1700年以上前に創建。主祭神は天照大御神(あまてらすおおみのかみ)の妹神・丹生都比売大神で、同大神を祀る全国約180神社の総本社。創建から約500年後の弘仁7年(816)には、弘法大師・空海が同神社の神領・高野山を拝領し、高野山を開創した「神仏融合」初の神社という。
この日午前は、丹生宮司が本殿で祝詞(のりと)を奏上。地元の子どもたちが楼門内で、雅楽に合わせて「浦安(うらやす)の舞」を舞い、笙(しょう)・太鼓の舞楽も奉納され、午後は鎌倉時代から続く「渡御(とぎょ)の儀」が営まれた。
この神事は、神輿(みこし)行列が、遥か和歌山市和歌浦の玉津嶋(たまつしま)神社まで巡行した「浜降り神事(はまくだりしんじ)」で、天野の里では「渡御の儀」として伝承。過去幾度か中断したが、平成元年(1989)には丹生都比売大神を尊崇する地元の人たちの協力により復興している。
「渡御の儀」では、真っ赤な天狗の面をかぶり、一枚歯の下駄をはいた大天狗を先頭に、お神輿(おみこし)を担ぐ人、神玉や剣、弓矢を持った狩衣(かりぎぬ)姿の人など、大勢の行列がうやうやしく楼門を出発。
参道両脇に立つ計24本の竹筒には、室町時代の「天野の里」の絵巻物に描かれたまっ赤なバラなどが生けられ、行列はその参道をゆっくり進み、弁柄色の輪橋(りんきょう=太鼓橋)を静々と渡った。
丹生宮司は、春風の吹く壇上に着座し、玉津嶋神社の方角に向かって祝詞を奏上、人々の安寧(あんねい)を祈り、後ろに立つ大天狗や、狩衣姿の人たちと共に拝礼した。
その後ろからは、大勢の参拝・観光客がカメラやスマートホンで撮影。「ほんまにええ風景やなあ」「これが日本文化ですよ」と、さまざまな感激の声が上がっていた。
写真(上)は花盛祭で丹生都比売神社の楼門を出発する渡御行列先頭の大天狗。写真(中)は同神社の輪橋を渡る渡御行列。写真(下)は玉津嶋神社の方に向かって人々の安寧を祈る丹生宮司。