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明治の古民家ゲストハウス♪高野山近く1日オープン
和歌山県かつらぎ町志賀244にある明治初期の建造と見られる古民家が、4月1日(日)、ゲストハウス「志高庵(しこうあん)」としてオープンする。経営する貿易代行業・豊原弘恵(とよはら・ひろえ)さん(48)が、和歌山大学の学生との協働により、建物を修復・復元・改装した。ここは世界遺産・高野山に近く、古民家の多い、日本の原風景を感じさせるところ。豊原さんは「ここで国内外の多くの人々に、ほっこり、なごんでほしい」と話している。
この古民家は木造平屋・寄棟(よせむね)造りで、屋根は茅葺(かやぶき)銅版包み。柱は欅(けやき)、梁(はり)は檜(ひのき)造り。4部屋には床暖房跡があり、昔は厳寒をオンドル(温突)でしのいだらしい。
このほど天井裏で発見された御餞別(ごせんべつ)帳には「明治十三年」の記載があり、この家は少なくとも明治初期、古ければ江戸時代後期に建造されたとも推察されている。
豊原さんは、この古民家活用に際し、共に地域の魅力発信に取り組んでいる和歌山大学・観光学部2回生の泉果歩(いずみ・かほ)さん、片浦愛理(かたうら・あいり)さん、新谷(しんたに)ほのかさんの3人の調査・提案を採用した。
ゲストハウスとしては、和室10畳(定員7人)、6畳(同3人)、洋室4畳程(同2人、ダブルベッド1台)、LDK(自炊式)に改装・修復・復元。隣の別棟には浴室、トイレを設けている。
例えば、玄関正面の囲炉裏の間は、泉さんら3人の「コミュニティースペースが必要」との声を聴き、床板を広々と張り替えてLDK(居間・食堂・台所)とした。すでに天井から自在鉤(しざいかぎ)を吊るし、その下には囲炉裏風のテーブル(12人掛け)を設ける。
竈(へっつい)や囲炉裏の煤(すす)に覆われた天井裏は、皆に見えるように戻して、本来の和風建築の雰囲気を出来るだけ伝え、古箪笥(ふるだんす)の壊れた金属製引手の代替紐(だいたいひも)もそのまま残すなど、情緒的工夫を施した。
設備・備品は、調理道具や食器類、冷蔵庫、乾燥機付き洗濯機、英仏式自転車空気入れ、冷暖房設備、寝具(布団)など、ほとんどの必需品を取り揃えた。
ゲストハウス「志高庵」は国道480号沿いで、周囲には同じような古民家や山、畑がある。今は大阪府和泉市~かつらぎ町の同国道「鍋谷峠トンネル」が開通し、京奈和自動車道・かつらぎ西ICからも近く、「志高庵」前の同国道は、高野山へ向かう参拝・観光客の車が絶えない。
豊原さんは「ここは交通の便が良く、関西国際空港から車で約50分、高野山へは約30分。四季折々の山裾の道を散策できる映画のロケにもふさわしい風景です。とくに外国の方々には、先人が残してくれた、この日本の魅力を感じてもらい、その良さを発信していきたい」と意欲を見せている。
料金(自炊素泊まり)は、1日1組限定料金(最大12人)で、4人まで=平日23000円、金・土・日・祝=26000円。5人を超える場合、1人ごとにプラス5000円。清掃料金=1回の宿泊ごとに5000円。連泊割引=7泊以上で20%、30泊以上で50%割引となる。
予約は電話、HP、メールで対応。豊原弘恵さん=電話090・5971・8050 HP・古都里(ことり)=http://Koto・ri.net/
写真(上)はゲストハウス「志高庵」の座敷縁側で伊都振興局の職員と話す豊原さん=左。写真(中)は美しい畳部屋の座敷や床の間。写真(下)は弧山(こやま)の裾野にある古民家活用の「志高庵」。