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父の心宿し笹ユリ咲く♪家永さんの庭で友人ら感激
和歌山県橋本市菖蒲谷の会社役員・家永和昭(いえなが・かずあき)さん(70)方の庭園で、今、妻・稚恵子(ちえこさん)さん(68)が育てた10本の笹ユリが綺麗に咲いて、同家を訪れる友人知人の心を潤している。
家永さん方は、昭和26年(1951)建造の日本建築で、門内に石燈籠(とうろう)や庭木、飛び石、龍の髭(りゅうのひげ)などが美しい。
稚恵子さんが平成10年(1998)、奈良市柳生町の実家に住む父・吉川潔(よしかわ・きよし)さん(故人)から、庭で愛育された笹ユリ3本をもらって帰り、自宅の庭の松の大樹の陰に2本、他に1本を植栽。父はその翌年、病没した。
笹ユリは、普通、気温が低い高山の草原に咲くものだが、高野山麓の家永さん方の庭でも、大きな松の陰が幸いして生長。約20本に増えていた。
ところが3年前、松の木が松くい虫のためか、無念にも枯死。代わりに槇(まき)の木を植えたが、木陰が小さいため、笹ユリは3本に減少した。
それでも、父の愛育した笹ユリの生命力は強く、球根にもかかわらず、約3メートル西の柊(ひいらぎ)と梅の木の間に、力強く種子を飛ばし、今ではその木陰で4本が育ち、見事な開花ぶり。数年後には再び、20本の笹ユリが楽しめそうという。
家永さん方には、多くの友人知人が「笹ユリ観賞」に訪れており、とくに花栽培が大好きな元カフェギャラリー「藪椿」経営・新田綾子(にった・あやこ)さんは、「家永さんの笹ユリは実に瑞々しく、いい香りがして、いつもうっとりしています」と感激。
稚恵子さんは「父はすべての木々や花々を大切に思い、生まれ育った場所から、他へ移すような気性ではなかったのに、私には初めて笹ユリをくれました。父の死後18年経ちますが、笹ユリには父のやさしい心が宿っているようで、有難いです」と述懐。
「それにしても、自ら木陰を求めて生きる、笹ユリの逞しさには、心打たれます」と話し、たくましくも清楚に咲く、笹ユリの花に見入っていた。
写真(上、下)は笹ユリに見入る家永稚恵子さん、写真(中)は瑞々しく咲いた家永さんの笹ユリ。