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改良「水消火器」に最優秀賞♪橋本市消防本部が考案
和歌山県橋本市消防本部・考案の「改良型・水消火器」が、「消防機器の改良及び開発並びに消防に関する論文」(一般社団法人全国消防協会主催)の最優秀賞に決定した。県内作品の最優秀賞・受賞は初めて。消火訓練用の水消火器は「水鉄砲みたい」だが、改良後は「本物の粉末消火器」のようで、参加者は消火訓練をリアルに体験でき、防火意識が高まると期待されている。
考案者は芝浩民(しば・ひろたみ)消防司令補(43)、中谷英司(なかたに・えいじ)消防士長(30)、桐原良威地(きりはら・らいち)消防主事(20)の3人。
橋本市消防本部では、市内各事業所や学校などで、定期的に初期消火訓練を実施している。その際、まちの環境問題に配慮して、オイルパンで燃料を燃やし、訓練機器には「水消火器」を使ってきた。ところがこれは「本物の粉末消火器」と違って、どうしても迫力が薄く、「水鉄砲みたい」「リアリティーがない」などという意見とともに、訓練に対する関心の低下が心配されていた。
そこで、芝消防司令補ら3人は昨年4月、「できるだけ本物に近い消火器を」と創意工夫。その結果、水消火器の内部のサイホン管に「コ」の字型に加工したパイプを差し込み、バンドで固定して、蓄圧(ちくあつ)された空気と水を混合、噴霧状に放射できるように改良。材料費も塩パイプ200円、固定バンド100円、食用色素「赤」「黄」「青」各色とも150円と低額に抑えた。
この改良型・水消火器を、消火訓練で使ったところ、参加者は、粉末消火器とほとんど変わらない放射距離、放射範囲、放射時間、噴霧状の放射性状などを体感。「放射がストレートでなく、広がりがあり、リアルだった」「消火器を風上から使用する意味がわかった」「放射音が本物の消火器みたいだった」と好評を博した。
今回の「消防機器の改良及び開発並びに消防に関する論文」では、各都道府県や各ブロックから推薦された消防職員の119作品(機器の部97作品、論文の部22作品)が厳重審査され、このうち橋本消防本部が考案した「改良型・水消火器」(作品名=訓練用水消火器の改良について)が、機器の部で最優秀賞に輝いた。
表彰式は5月24日、名古屋市のウェスティン ナゴヤ キャッスルで開催。機器・論文両部の代表者11人と全国消防本部消防長約770人が出席する予定。
芝消防指令補ら3人は改良型・水消火器を胸に最優秀賞の決定を喜び、福本富雄(ふくもと・とみお)消防指令は「これでリアルに消火訓練ができる。受賞を機会に一層、防火意識を高めたい」と語った。
写真(上)は全国・最優秀賞に決定した改良型・水消火器を披露する(左から)芝司消防令補、中谷消防士長、桐原消防主事=橋本市消防本部前で。写真(中)は改良後の水消火器の放射ぶり。写真(下)は水消火器による消火訓練。