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青紫の矢筈葛きれい♪寺本祥子さん亡母と共に…
和歌山県隅田町垂井の隅田八幡神社近くの寺本祥子(てらもと・しょうこ)さん方の庭で、今、青紫色の矢筈葛(やはずかずら=ノンベルギア・グランディフローラ)が満開になった。この矢筈葛は、亡母・奎(けい)さんとの「思い出の花」で、寺本さんは「母と一緒に眺めているみたい。とっても幸せです」と話し、近所の人たちとともに深まる秋を満喫している。
寺本さんは国宝・人物画像鏡や名物・鎌倉時代の「放生会(ほうじょうえ)」=殺生を戒める宗教行事=を起源とする名物・担ぎ屋台(かつぎだんじり)が伝わる隅田八幡神社・宮司の長女。
母・奎さんは同神社境内の池畔などに花菖蒲(はなしょうぶ)をはじめ、四季折々の花々を植栽。多くの参詣人に花の美を紹介してきた。母の感化を受けた寺本さんも、幼少時代から大の花好きで、母の花づくりを支えてきた。
矢筈葛を同神社で初めて鉢植えしたのは約10年前。開花した美しい5枚の花びらに、寺本さんは母とともに感動、母娘の睦みあいを享受してきた。
平成24年(2012)夏、同神社西約100数十メートルのところに、寺本さんと母が住む予定の2階建て住宅を建設。寺本さんは、母娘連携の花栽培を楽しみにしていた。
ところが母・奎さんは、完成したばかりの新居に引っ越す5日前、不慮の熱中症で急逝。寺本さんは悲しみに暮れながら、母とともに大好きだった矢筈葛の苗を新居の玄関わきに植えた。
それが年々蔓(つる)を長く延ばし、葉を茂らせて、今月初旬には最大直径10センチにも開花。これまで最高の勢いを見せて、今は約80輪の青紫色の花が秋風に吹かれている。
寺本さん宅は矢筈葛のほか、黄色いアスクレピアスや真っ白なネコノヒゲなど20数種類の花々が咲き誇る。近所の人たちはもちろん、表通りを往来する人たちも「なんと綺麗や」「心が洗われる」などと思わず立ちどまり、しみじみと観覧している。
寺本さんは「矢筈葛は花の大好きな母が、とくに称賛してくれた花。今は、亡き母と一緒に見ているようで、とてもうれしいです」と語り、「これからも母と一緒に花を咲かせます」と、笑顔を見せていた。
写真(上)は寺本さん宅の玄関をおおう矢筈葛の花たち。写真(中)は矢筈葛の花びらを見つめる女の子。写真(下)は矢筈葛を眺める近所の人たち。