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まさかの名月拝めた♪妙楽寺で30人〝琴の調べ〟も
和歌山県橋本市東家の真言律宗・妙楽寺=岩西彰真(いわにし・しょうしん)住職=の境内で、9月15日夜、善男善女約30人が集まり、〝中秋の名月〟と〝重陽の節句〟を兼ねた「勤行・観月・コンサート」が開かれた。
境内には音響設備をせず、鐘楼門の前の祭壇に萩薄(はぎすすき)、団子(だんご)などを供え、高野山で修業中の岩西住職に代わり、母の康子(やすこ)さんが参加者と共に般若心経を唱えて開幕した。
登場した橋本市在住の箏演奏家・山田裕子(やまだ・ひろこ)さんが、日本人の「間」の文化を讃えた後、同寺(御本尊・薬師如来)に「間」の趣(おもむき)を感じさせる「六段の調べ」や「風の歌」を奉納演奏した。
午後7時過ぎ、山田さんが、箏を弾きはじめた瞬間、秋雨前線の雲でこれまで暗闇だった鐘楼門の中空に、まさかの〝中秋の名月〟があらわれ、参加者一同「おおっ」と言いながら大拍手。秋の虫がすだき、かろやかな箏の調べがつづく中、ほんのしばらく、丸い月を仰ぎ見た。
この後、心も爽快になった参加者らは、大きな金杯で菊酒を回し飲み、菊茶もいただきながら歓談。箏伴奏で「ふるさと」「上を向いて歩こう」「川の流れのように」などを合唱した。
最後に山田さんの長女でシンガーソングライターの未来(みく)さんが、母を思いながら「間」を大切にして作ったオリジナルソング「心音(こころお)」を歌うと、参加者は全員うっとり。
帰り際には、鐘楼門の鐘を鳴らし、「素敵な名月、素敵な箏演奏ありがとう」と手を合わせる。岩西さんは「今夜は幸い雨も降らず、涼しくて、皆様と楽しく交流でき、そのうえお月さままで拝めました」と謝辞を述べていた。
写真(上)は妙楽寺・鐘楼門の空にあらわれた中秋の名月。写真(中)は箏演奏の山田裕子さん=左=とシンガーソングライターの未来さん。写真(下)は楽しい観月会・コンサートの風景=写真家・中本義則(なかもと・よしのり)さん撮影。