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日本の原風景守ろう♪わかやまの棚田・段々サミット
日本の原風景・棚田の景観保全と農業生産活動の継続を目指す「第3回わかやまの棚田・段々サミット」のシンポジウムが、9月2日、和歌山県橋本市東家の市民会館で開かれた。3日(土)には同市柱本の「芋谷の棚田」で、現地見学会や柱本小学校児童とChojiの棚田コンサートが開かれる。
県内市町村や棚田保全団体などでつくる和歌山県棚田等保全連絡協議会の主催で、「~棚田がつなぐ村人(ひと)と街人(ひと)~ともに守る」が開催テーマ。
「芋谷の棚田」は約450年前に開拓。田が138枚(計5・4ヘクタール)、畑が9枚(0・8ヘクタール)ある。棚田の石垣や水路には芋谷川の石を活用、良質の米を生産してきた。
この日、関係者や一般市民ら計約400人が参加。和歌山大学観光学部1年・梶田太陽(かじた・たいよう)さんが司会進行。平木哲朗(ひらき・てつろう)市長は「芋谷の棚田」の取り組みを紹介し、「サミットを機会に保全意識を高めたい」と挨拶。県は今年度の「わかやまの美しい棚田・段々畑」に認定した「沼の棚田」(沼の農業を守る会=有田川町)に認定状を授与した。
この後、日本の棚田百選「大山千枚田」で、全国初の棚田オーナー制を導入したNPO法人・大山千枚田保存会の石田三示(いしだ・みつじ)理事長が基調講演。スクリーンで四季の棚田の写真を紹介しながら、「畔道にヒガンバナを植えたら、見事なものだから、皆さん観光バスで見学に来られるようになった」「私たちの千枚田は粘土質なので、どうしても雨水が溜まり、そこに絶滅危惧種のトウキョウサンショウウオや、アカガエルが生息。これも資源になりますね」と楽しく説明、「地域の課題は都市の課題」「課題こそが宝(仕事)になりうる」などと話した。
パネルディスカッションは、和歌山大学食農総合研究所の岸上光克(きしがみ・みつよし)准教授をコーディネーターに石田理事長、大阪府河南町のNPO法人・里山倶楽部事務局の寺川裕子(てらかわ・ゆうこ)さん、高野町の富貴・筒香田んぼつくりタイ事務局の山本亜紀子(やまもと・あきこ)さん、橋本市の柱本田園自然環境保全会の大原一志(おおはら・かずし)会長が、それぞれの棚田と活動内容を紹介した。
寺川さんは「みんな自然農法で米、野菜を栽培。1日にはホームページを立ち上げました」、山本さんは「農産物は〝やどり温泉いやしの湯〟などで販売。Chojiさんの田んぼオブザワールドも開催してきた。頑張って次世代へバトンタッチしたい」、大原会長は「高齢化の中、身の丈に合った活動をしている。はしもと里山学校=佐藤俊(さとう・さとし)代表=の子供たちの声を聞くとうれしい」などと話した。
今回の開催テーマは「~棚田がつなぐ村人(ひと)と街人(ひと)~ともに守る」だが、かつて都市部から筒香地区へ来ていた山本さんは、「自宅へ帰る際、地元の人たちから『今度いつ帰るの』と言ってくれたことが、とてもうれしかった」と説明。棚田での協働はもちろん、心の交流の大切さを物語っていた。
3日は午前9時30分から「芋谷の棚田」見学会、同10時30分から柱本小学校児童と小学校児童とChojiの棚田コンサート、同11時30分から昼食(芋谷米のカレーライス)となっている。
写真(上、中)は橋本市民会館で開かれた「第3回わかやまの棚田・段々サミット」のシンポジウム・パネルディスカッション。写真(下)は「芋谷の棚田」の説明をする大原会長。