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ハンデ克服・山内さん「筒香」展示♪橋本絵画同好会展
美人画の巨匠である故・中村貞以(なかむら・ていい)画伯(1900~1982)の愛弟子で、和歌山県橋本市文化協会の元会長・山内清冶(やまうち・せいじ)さん(75)は、不自由な目の障害を克服して、6月24日、橋本市教育文化会館4階で開幕した第52回「橋本絵画同好会展」に、高野町の山地風景を描いた日本画「筒香(つつが)」を出展し、「やはり山内さんの日本画は素晴らしい」と喝采を浴びている。
山内さんは昭和39年(1964)、橋本・伊都地方の絵描きを集めて「橋本絵画同好会」を旗揚げ。当初、10人だった会員は6~7倍に増え、実力者が育った。自宅近くには日本画「鬼灯庵(ほおずきあん)を設立・主宰。多くの弟子たちを指導。近年は白内障を患い、手術した左目は失明状態で、右目も人の顔がやっとわかる程度の視力。2年前からは絵画制作も断念状態になっていた。
今回、出展した「筒香」は、高野町筒香の大自然の中に座って、在所の家々や山々をスケッチした作品。見えにくい目を見開いて、必死で岩彩を施してきた。観覧者は「さすがに山内さんの絵。すごい、すごい」と絶賛する
山内さんは「この絵は、橋本市内で開業した長男医院に贈りたいと思って制作しました」と心の内を明かし、「長らく視力減退で、筆を休めていましたが、このほど夢枕に『すごい廃屋とそこに咲く花々』の光景が出てきました。今は、その絵を描きたいという思いでいっぱいです」と話し、制作活動の再起を誓っていた。
「橋本絵画同好会展」では、約30人が70数点を出展。「山を描くコーナー」もある。高橋佳子(たかはし・けいこ)会長は清らかな「春うらら」、面矢元子(おもや・もとこ)元会長は国城山らしい「向かいの山」、植西祥司(うえにし・しょうじ)さんは遥拝してきた「夕映えの龍門山」を出展。観覧者の心を癒している。
同展は26日(日)まで。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は同4時)。観覧無料。第10回「楽描会展」と同時開催。
写真(上)は目の障害を克服し「筒香」を出展した日本画家・山内さん。写真(中)は「橋本絵画同好会展」会場風景。写真(下)は寺田宗功さんの「校庭の桜」=重要文化財・高野口小学校。