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金剛峯寺に「桜の襖絵」奉納♪中島画伯・3面12枚
日本画家で東京芸大名誉教授の中島千波(なかじま・ちなみ)画伯(70)は、高野山開創1200年記念に制作した「桜の襖絵(ふすまえ)」を4月28日、和歌山県高野町の世界遺産・高野山真言宗総本山・金剛峯寺に奉納した。
この「桜の襖絵」制作は、同寺が平成25年(2013)に、同27年の開創記念大法会に合わせて企画。襖絵作品の展示後は、同寺の貴賓室(きひんしつ)である奥殿用にと中島画伯に制作を依頼。中島画伯の快諾を得て、予定通り完成した「桜の襖絵」は、東京・大阪の高島屋で展示。今回は表装(ひょうそう)を完成させて、奥殿・桜の間に納められた。
「桜の襖絵」は、桜の間の正面と左面、右面の3面12枚で、正面には京都・上賀茂(かみがも)神社の枝垂れ桜を描くなど、各面に奈良・京都の社寺の3本の桜を、主に岩絵の具を使って表現。いずれも満開で、大樹の幹が、無数の花に覆われて、春らんまんの趣(おもむき)。従来の白紙襖の部屋から、日本情緒いっぱいの部屋に改まった。
この日、桜の間で「襖絵の奉納式」が執り行われ、添田隆昭(そえだ・りゅうしょう)宗務総長の前に置かれた1枚の桜の襖絵に、中島画伯が揮毫落款(きごうらっかん)。さらに添田宗務総長ら僧侶約10人が般若心経を唱え、中島画伯が焼香して、御法楽(ごほうらく)を営んだ。
添田宗務総長は「日本人は、桜が満開になると、浮き浮きしますが、それも1週間で散ると、寂寞感(せきばくかん)が…。きょうは中島先生に永遠に散らない桜、いつでも拝観できる桜を奉納していただきました」と謝辞を述べた。
中島画伯は「私は30数年前から、名高い岐阜の淡墨桜(うすずみざくら)=樹齢1500年以上=に、霊気のようなものを感じるなど、とくに桜の古木に魅了され、毎年、全国各地の桜の名所を訪ね歩いてきました」と説明。
今回の「桜の襖絵」については、金剛峯寺・奥殿を念頭に、「伝統を踏まえながら、桜を明るく表現しました。なるべく剥落しない絵の具を使っているので、末永くご覧いただければ有難いです」と語った。
この「桜の襖絵」は4月29日(金)~5月8日(日)、特別拝観を実施。金剛峯寺で拝観料=中学生以上500円、小学生200円=を払えば、同寺とともに拝観できる。拝観時間は午前8時30分~午後5時(最終受付は同4時30分)。
写真(上)は1枚の襖絵に揮毫落款する中島画伯=向こうは添田宗務総長。写真(中)は添田宗務総長から感謝状を受ける中島画伯=左。写真(下)は襖絵を見てまわる添田宗務総長し中島画伯。