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高野山の宥快・長覚没後600年~宝寿院の名宝展示

南北朝・室町時代に高野山真言密教の教学興隆に尽力した高僧の「宥快(ゆうかい)・長覚(ちょうかく)没後600年」を記念して、和歌山県高野町の高野山・霊宝館で、企画展「宝寿院(ほうじゅいん)の名宝」が開かれている。とくに今は高野山開創1200年の節目の紅葉シーズンだけに、大勢の参拝・観光客が訪れ、文化財を通して真言密教のあたたかな心に触れている。
宥快(1345~1416)は、事教二相(事相=実践、教相=理論)と悉曇(しったん)=梵字(ぼんじ)を学び、やがて高野山・宝性院(ほうしょういん)門主となり、その著作は後世の宗学者に深い感銘を与えた。
長覚(1340~1416)は、悉曇と声明(しょうみょう)を究め、禅や浄土、神道にも造詣を深めた。高野山・無量寿院門主となり、寿門3000人の学徒を指導した。
宝寿院は大正2年(1913)、この高野山2大学派の宝性院と無量寿院(むりょうじゅいん)が合併した寺院。多くの国宝や国重要文化財を所蔵し、寺院内に仏教修行の「専修学院」がある。
企画展「宝寿院の名宝」は、前期と後期で一部名宝を入れ替えて、前期は11月23日(月・祝)まで、後期は11月28日(土)~平成28年1月11日(月・祝)まで開催。国宝や国重要文化財などの書跡や絵画、彫刻など前期、後期ともに約50件を展示。
例えば館内には、宝寿院所蔵の右手に紐で結わえた包(つつみ)を持つ「宥快法印(ゆうかいほういん)像」(高さ65センチ)と、同じく右手に五鈷杵(ごこしょ)を持つ「長覚法印像」(高さ76センチ)=の秘仏2件(いずれも木造、江戸時代)が鎮座。釈迦如来(しゃかにょらい)と両脇に文殊(もんじゅ)、普賢(ふげん)両菩薩が並ぶ「釈迦三尊(しゃかさんぞん)像」=狩野探幽(かのう・たんゆう)の絹本著色(けんぽんちゃくしょく)3幅=が美しい。
一方、先に霊宝館で特別公開された、仏師・彫刻家の高村光雲(たかむら・こううん)が昭和6年(1931)、80歳の頃に制作した「薬師如来仏頭(ぶっとう)」(高野山・金剛峯寺所蔵)は、大好評だったため11月29日(日)まで公開期間を延期している。
霊宝館の研谷昌志(とぎたに・まさし)学芸員(30)は「宝寿院には沢山の宝物があり、平素は見ることのできない名宝の数々を展示していますので、この機会にぜひご覧ください」と言っている。
年末年始=12月28日(月)~1月4日(月)=は休館。今回の「宝寿院の名宝」開館時間は午前8時30分~午後5時(入館は閉館の30分前まで)。利用料金は一般600円、高校・大学生350円(学生証要提示)、小・中学生250円。問い合わせは高野山霊宝館(電話0736・56・2029)。
写真(上)は展示中の宥快法印像=左=と長覚法印像を拝観する女性。写真(中)は大好評のため特別公開・延期中の高村光雲作「薬師如来仏塔」。写真(下)は美しい絹本著色の「釈迦三尊像」(3幅)。


更新日:2015年11月6日 金曜日 00:00

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