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一切経や三成の奉納額♪高野山霊宝館~結縁大師も
和歌山県高野町の高野山霊宝館で、仏教の経典を集成した一切経(いっさいきよう)関連の国宝や重文などを紹介する企画展「特集 一切経の世界」が開かれている。また、館内には手で膝(ひざ)に触れると、弘法大師・空海と「縁を結べる」という結縁(けちえん)大師像も飾られ、多くの観覧者が高野山ならではの楽しいひとときを過ごしている。
高野山霊宝館によると、一切経は大蔵経(だいぞうきょう)とも呼ばれ、古来より写真や印刷を繰り返し、伝承されてきた宝物(ほうもつ)。前期展は5月22日まで、後期展は同24日から7月3日までで、国宝4件と重要文化財15件を含む計43件を展示している。
例えば、釈迦が説いた国宝「大品経巻(だいぼんきょうかん)第三十三」(平安時代、金剛峯寺所有)は、野鳥や草木、建物の絵図と金文字の経文が記され、重文「大般若波羅蜜多経巻(だいはんにゃはらみったきょうかん)第六十」は、釈迦の説法を拝聴する菩薩の姿が、眩(まぶ)しいばかりに表現されている。
重文「奥之院経堂額(おくのいんきょうどうがく)」は、戦国武将・石田三成が慶長4年(1599)、母の冥福を祈って高野山・奥の院に経堂を建立し、堂内に「高麗版(こうらいばん)一切経額」を寄贈。銘文は高野山麓・橋本ゆかりの木喰応其(もくじきおうご)上人が記した。経堂の本尊「文殊菩薩騎獅像(もんじゅぼさつきしぞう)」(増高131・5センチ、桃山時代)は金色に輝いている。
高野山霊宝館の鳥羽正剛(とば・せいごう)学芸員は「一切経をご覧になり、昔、経典を奉納した人々の、祈りの心を感じていただければ」と話している。
一方、館内には株式会社・大塚オーミが奉納し、霊宝館が監修した「弘法大師坐像」(結縁大師=陶製・像高83・5センチ)を安置。大師が高野山開創後の初法会の際、「虚空(こくう)尽き 涅槃(ねはん)尽き 衆生(しゅじょう)尽きなば 我が願いも尽きなむ」(すべての物が尽き果てるまで救いを求める者には必ず手をさしのべよう)という誓願を紹介。「どうぞ、ご自分の手で、大師坐像の右膝(みぎひさ)に触れて、お祈りください」と奨めている。
開館は午前8時30分~午後5時30分(入館は午後5時)。期間中無休。前・後期で一部展示品を入れ替える。拝観料は一般600円、高校・大学生350円、小中学生250円。
問い合わせは高野山霊宝館(電話=0736・56・2029)へ。
写真(上)は高野山霊宝館で金色に輝く「文殊菩薩騎獅像」。写真(中)は「右膝に手で触れてください」弘法大師坐像(結縁大師)。写真(下)は重文「大般若波羅蜜多経巻第六十」。