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京都の児童「幸村の兜」を寄贈♪橋本駅、鎧上に飾る
和歌山県橋本市のJR橋本駅に展示中の真田幸村の手作り甲冑(かっちゅう)の「兜(かぶと)」が何者かに盗まれたが、これを知った京都府向日市の小学校4年生・池上瑠斗(いけがみ・りゅうと)くん(10)が、自ら制作した「幸村の兜」を同駅に寄贈し、同駅は10月19日、残されていた鎧(よろい)の上に池上くんの「幸村の兜」を飾った。岩田芳和(いわた・よしかず)駅長は「哀れな姿になっていた甲冑が、小学生の善意で、雄々しい姿に戻った。犯人は心すべきです」と言っている。
寄贈された「幸村の兜」は、手作り紙製で、全体は朱色、ツノ部分は金色に輝き、前頭部に真田家の旗印「六文銭」で飾られた、勇ましい仕上がり。池上くんが今年の夏休みに「カブト工作教室」に通って、丹精込めて制作した逸品である。
橋本駅で盗難に遭った甲冑は、同県九度山町の「手作り甲冑(かっちゅう)九度山真田隊」=梅下修平(うめした・しゅうへい)隊長=の隊員の作品。来年1月から始まるNHK大河ドラマ「真田丸」をアピールしようと、岩田駅長が梅下隊長から借りて、同駅改札口表の通路わきに展示していたが、10月4日深夜から5日未明にかけて、「兜」が盗難に遭った。
このことをインターネット報道で知った池上くんが、同12日、両親とともに、わざわざ京都から同駅を訪れ、両親は「この兜は、子供の作ったものですから、別に飾っていただかなくても構いません。何かのお役に立つのなら」と言って寄贈した。
梅下隊長は10月7日、「御触書 くせものへ 兜が無ければ いくさは出来ぬ 返してたもれ 九度山の幸村」としたためた立札を立て、岩田駅長も「犯人が兜を返してくれるまで…」と首を長くして待ったが依然、戻らないため19日、幸村の鎧の上に池上くんの「兜」を飾り、小学生が寄贈してくれたことを表示した。
岩田駅長は「やはり甲冑は、鎧・兜・具足がそろわなければ、様(さま)にならない。盗まれた兜が戻らないのは残念ですが、やさしい心のこもった池上くんの兜を乗せると、立派な姿が甦りました。乗降客も喜んでくれています」と話していた。
「皆様からの情報はこちらへ・兜捜索臨時窓口」(電話=0736・33・5613)=期間限定ダイヤル、平日午前9時~午後5時=を設定。犯人捜査の情報提供については、橋本警察署の電話(0736・33・0110)へ。
写真(上)は橋本駅の鎧の上に飾られた池上くん手作りの「幸村の兜」。写真(中)は盗難で「兜」がなくなった前日までの哀れな鎧の姿。写真(下)は池上くんの「幸村の兜」で雄々しい姿を取り戻した橋本駅の甲冑。