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「兜が無ければ いくさが…」橋本駅に幸村の御触書
和歌山県橋本市古佐田のJR橋本駅で、何者かに盗まれた真田幸村の手作り甲冑(かっちゅう)の「兜(かぶと)」を取り戻そうと、制作者の同県九度山町の「手作り甲冑(かっちゅう)九度山真田隊」=梅下修平(うめした・しゅうへい)隊長=は10月7日、「くせもの」に対し、「返しなされ」という御触書(おふれがき)の立札を立てた。橋本駅の岩田芳和(いわた・よしかず)駅長は「兜を返さないと一生後悔しますよ」と、善処を急ぐよう諭している。
この甲冑は、真田幸村ゆかりの「手作り甲冑(かっちゅう)九度山真田隊」が、半年掛かりで制作した〝紙製・赤備えの甲冑〟で、今年5月、九度山の商店・民家火災からも、たまたま難を免れた貴重な作品。
岩田駅長が来年1月に始まるNHK大河ドラマ「真田丸」を盛り上げようと、梅下隊長らの協力で、同駅改札口の外側の通路わきに展示していたところ、その兜が10月4日深夜から5日未明にかけて、何者かに盗まれてしまった。
梅下隊長は犯人が現れないため7日、同駅に展示中の「兜」なき甲冑のそばに、「御触書 くせものへ 兜が無ければ いくさは出来ぬ 返してたもれ 九度山の幸村」としたためた立札を立てた。
また、JR西日本・和歌山支社も「橋本駅で盗まれた兜を探しています!」というタイトルのポスターを制作。JR和歌山線の近隣駅に貼り出すとともに、チラシ約300枚を売店や改札口で乗降客らに配布。犯人探しよりも「兜の返却」に重点を置いて訴えた。
チラシは、事の次第を説明するとともに、「この兜の盗難に関する情報はどんな些細なことてせも結構です。『あ!』と思ったら下記までご連絡を」という趣旨の協力を求め、「皆様からの情報はこちらへ」として兜捜索臨時窓口(電話=0736・33・5613)=期間限定ダイヤル、平日午前9時~午後5時=を設定。犯人捜査の情報提供については、橋本警察署の電話(0736・33・0110)を記している。
梅下隊長は岩田駅長に対し、「今回の盗難は誠に残念だが、代わりの兜を飾って、改めて幸村の雄々しさを見せましょうか」と、さらなる善意を示したが、岩田駅長は、それに感謝しながらも、「こういうことが、いかにいけないことかを、知ってもらいたい」として、「暫くはそのままにさせてほしい」と応え、犯人に返却を訴え続けることにした。
写真(上、下)はJR橋本駅の通路で兜が盗まれた幸村の鎧(よろい)部分。写真(中)は梅村隊長が橋本駅に設けた「御触書」の立札。