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「高野の花たち」(43)永遠に♪セトウチホトトギス
セトウチホトトギス(瀬戸内杜鵑)はユリ科のホトトギス属で、花言葉は「永遠にあなたのもの」。
秋晴れの一日、六本杉から二ツ鳥居まで、高野山町石道を二人で歩いてみました。小都知の峰の山腹を縫い、天野の村人が薪炭林として利用したコナラの林の中を歩く坦々たる落葉の道です。
道の両側の足元には、セトウチホトトギスの花が清楚に咲いています。「ホトトギス」と聞けば、野鳥を思い浮かべる人が多いことでしょうが、植物のホトトギスは、花びらにある紫色の斑紋が野鳥のホトトギスの胸の斑紋と似ているひとから、付けられたとされています。
花は葉腋に1~数個咲き、花被片は水平に開き、ヤマジノホトトギスに花姿は似ていますが、花の中心部には黄色の斑点があり、めしべの花柱から花頭にかけて、おしべの花糸にも紫色の斑があります。
類似種のヤマジノホトトギスの花柱には、斑点がなく、花被片の下部に黄色の斑点も無いので、区別できます。瀬戸内海を囲む地域でしか分布しないために、この名前が付けられました。
和歌山県の中でも、紀の川を挟んで北側の金剛山付近では、ヤマジノホトトギスが咲いていますが、南側の高野山付近ではセトウチホトトギスと分布域が違うようです。
ユリ科ホトトギス属は、日本・台湾・朝鮮の東アジアに分布し、19種が確認されています。夏から秋と開花時期が長く、「永遠にあなたのもの」との花言葉が付けられています。こんな素敵な花が見られる光景が、いつまでも有ってほしいと願うばかりです。(KE記)
≪お知らせ≫今回から高野山開創1200年記念・連載「高野の花たち」のスタッフとして和歌山県自然公園指導員であり、玉川峡を守る会の井奥恵三(いおく・けいぞう)さんが新たに加わりました。スタッフは計8人となります。