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少林寺拳法・道根(伊都高校)選手インターハイ優勝
和歌山県立伊都高校3年生で少林寺拳法2段の道根綾乃(みちね・あやの)選手(橋本市神野々)が、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)少林寺拳法競技大会・単独演武で優勝し、8月18日、橋本市役所で平木哲朗(ひらき・てつろう)市長に優勝報告した。道根選手は、かつて全国中学生少林寺拳法大会・組演武で準優勝した相棒の県立紀北工業高校2年生・2段の水浪(みずなみ)まどかさん(橋本市隅田町)を昨年4月に亡くしたが、その悲しみを克服、単独演武で全国制覇を果たし、平木市長に「優勝カップを水浪さんの御仏前に供えて感謝、一緒に喜んでもらいたい」と話した。
道根選手は幼稚園に通う5歳の時、両親と兄妹の4人で、橋本市隅田町中島の金剛禅総本山少林寺・橋本西道院=長坂徳久(ながさか・のりひさ)道院長=の稽古風景を見学した。その時の子供たちの気合い、身のこなしなどに感激して入門。小学校2年生の時には、同学年の・水浪さんが入門。長坂・道院長から猛特訓を受けた。2人は全国中学生少林寺拳法大会(香川)や、オールジャパン(横浜)に組演武で出場し、それぞれ2位を獲得するなど大活躍した。
やがて道根選手は、伊都高校に進学。校内に少林寺拳法部はなかったが、橋本西道院で修業を継続。水浪さんは紀北工業高校で剣道部に所属していたが、昨年4月に死別した。道根選手は深い悲しみの中、「もう少林寺拳法をやめたい」と思ったが、ここでくじけないで「単独演武を磨こう」と決意。大会前には1日3時間以上の猛稽古に励んできた。
今回の全国高校総体・少林寺拳法競技大会(全国高校体育連盟など主催、読売新聞社共催、文部科学省など後援)は、7月31日から3日間、兵庫県立武道館で開催。単独演武には全国都道府県選抜の78選手が出場し、道根選手は予選で257点、準決勝と決勝で263点(いずれも300点満点)の高得点を上げる見事な演技で、初優勝を飾った。
この日、橋本市役所を道根選手や長坂・道院長、野田幹也(のだ・みきや)校長らが訪問。市長応接室で報告会を開催した。平木市長は「伊都高校はもうすぐ伊都中央高校に変わり、なくなることは寂しいですが、道根選手の活躍記録は校史に残ります」と讃え、「どうか後輩の指導もよろしく頼みます」と将来を期待した。小林俊治(こばやし・しゅんじ)橋本市教育長や土井裕美子(どい・ゆみこ)市議会副議長らも激励の言葉を述べた。
野田校長は「学校に祝優勝の垂れ幕を掲げました。道根選手の功績は伊都高校94年の沿革史に残ります」と喜び、長坂・道院長も「いろいろと葛藤(かっとう)もありましたが、皆さんの応援のお陰で、優勝できました。今後の人生を見守ってあげてほしい」と挨拶した。
この後、道根選手は道着姿のまま、応接セットを脇に寄せた市長室(ジュータン)で、単独演武の一部を披露。「えいっ」という気合もすさまじく、「静と動」の素晴らしい演武を見せて、平木市長らを唸(うな)らせた。
長坂・道院長の話では、少林寺拳法は全国に約3000道場があり、延べ150万人が研鑽を積んでいる。海外にも普及していて4年に1回、世界大会が開かれているという。
道根選手は「この優勝カップは、まどかちゃんの御仏前に供え、一緒に喜んでほしいです」と話し、「将来は大学に進んで、管理栄養士の資格を取りたい。もちろん少林寺拳法は続けて、できれば世界的な大会で、優勝を目指したい」と語った。
写真(上)は平木市長に優勝カップを披露する道根選手=左=と長坂・道院長。写真(中)は全国高校総体の少林寺拳法競技大会・個人演武を披露する道根選手。写真(下)は優勝報告会に出席した道根選手や平木市長ら関係者。