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諸願成就へ150年ぶり大護摩供~丹生都比売神社

弘法大師・空海の高野山開創1200年を記念して、九州の真言宗各宗派の僧侶らでつくる「九州修験の会」=笹山祥雅(ささやま・しょうが)会長=は、4月22日、高野山の守護神とされる丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)=丹生晃市(にゅう・こういち)宮司、和歌山県かつらぎ町上天野=で、世界平和、国家安泰、諸願成就を祈る「柴燈大護摩供(さいとうおおごまく)」を営んだ。同神社での柴燈大護摩供は、明治維新の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)で途絶えて以来、約150年ぶりの復興で、丹生宮司は「このように神道と仏教が、ともに仲良くすることは、お大師さまの説かれた『大宇宙大日如来』の御心です」と喜び、修験者や檀信徒ら全ての人々に謝辞を述べた。
この日、九州修験の会の僧侶ら46人と、檀信徒ら約600人が同神社に参集。先ず、朱塗りの楼門・本殿で、高野山の舞踊家による宗教舞踊が奉納され、丹生宮司が祝詞を奏上の後、境内で「柴燈大護摩供」が営まれた。
嶮しい自然界で研鑽を積む、猛々しい身なりの修験者らは、四方を竹と綱と紙垂(しで)で囲んだ結界の中で、大斧(おおおの)を振り下ろし、剣(つるぎ)を操り、弓矢を射る儀式を挙行。「ブゥオオー」と吹き鳴らす法螺貝(ほらがい)の音を合図に、檜葉(ひば)で組まれた護摩壇(高さ約1・5メートル)に点火すると、たちまち白煙と炎が立ち上り、修験者らは呪文を唱えながら、願文を書いた護摩木を次々と投げ入れた。
この後、火生三昧(かしょうざんまい)が行われ、修験者らは大護摩の灰を絨毯(じゅうたん)状に平らにし、600人以上の檀信徒らが、手を合わせながら素足で火渡り。それぞれ熱いながらも、諸願成就を求める表情に満ちていた。
高野山真言宗総本山の松長有慶(まつなが・ゆうけい)前管長・座主は「神仏が手を携える、明治以来初めての、歴史的な大護摩供であり、世界平和と心の安静を祈りましょう」と挨拶し、笹山会長は「丹生宮司様に神仏同心の想いを共感していただき、松長前管長・座主にも御臨席いただいて、誠に有難いです」と謝辞。
丹生宮司は「ユネスコが、高野山と当神社を含む、紀伊山地の霊場と参詣道を、世界遺産に登録したのは、お大師さまの『山川草木悉皆成仏』『大宇宙大日如来』とする御心によるものです。神道と仏教との共存や、生きとし生けるもの全てを大切にする日本人。きょう柴燈大護摩供ができたのは、大神さま、お大師さまのお陰です」と、御礼をのべて締めくくった。
写真(上)は丹生都比売神社の楼門をバックに巻き上がる柴燈大護摩供の白煙と炎=手前右は丹生宮司。写真(中)は火生三昧(火渡り)に参加する檀信徒たち。写真(下)は楼門前で柴燈大護摩供を執り行う笹山会長と見守る丹生宮司ら。


更新日:2015年4月23日 木曜日 00:00

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