ニュース & 話題
図書館に書棚・本寄贈~終結奉仕・橋本紀ノ川RC
和歌山県橋本市の橋本紀ノ川ロータリークラブ=妙中清剛(たえなか・きよたけ)会長=は、11月28日、橋本市図書館=宮井利明(みやい・としあき)館長=に、図書286冊と書棚5組(計500万円相当)を寄贈した。これは同クラブが、会員減少により今年12月末の解散を決め、いわば同クラブ残余金による〝終結奉仕〟で、妙中会長は「少しでも市民に喜んでもらえれば」と話し、宮井館長は「まことに重宝な図書と綺麗な書棚で、これほど有難いことはありません」と謝辞を述べていた。
同クラブは平成8年(1996)1月、親クラブの橋本ロータリークラブがスポンサーとなって発足。5周年記念事業では、橋本運動公園入口に、陶芸家の目黒威徳(めぐろ・いとく)元・和歌山県教育長が制作した「手形陶板」を設置。そこには子供中心に一般市民、長嶋茂雄・プロ野球・元巨人軍監督ら著名人の、大勢の手形で飾った。10周年記念では、同公園一帯に桜や椿など約100本を植樹。庚申山や紀の川畔などでも緑化事業に努めた。
15周年記念では、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの父・横田滋(よこた・しげる)さんと母・早紀江(さきえ)さん、「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出する全国協議会)の西岡力(にしおか・つとむ)会長(東京基督教大教授)の3人を招いて講演会を開催。640席の会場に市民約900人が詰めかけ、以来、拉致被害者救済の署名活動を続けてきた。
また、例年事業も、高野口歩行者天国チャリティーバザー、医師派遣による若年者検診、麻薬撲滅運動、同クラブ旗争奪戦を繰り広げる学童野球、中国西安での足長奨学会活動など、幅広く奉仕活動に全力投球。それも資金的支援だけでなく、クラブ員自らが、現場に出向き汗を流してきた。
ところが、バブル崩壊や高齢化の波が大きく響き、当初27人だった会員は、今は10人にまで減少。各種事業の実践が困難となり、やむを得ず解散を決定するに至った。寄贈図書については、同クラブと宮井館長が相談して、ふだんの図書館予算ではとても購入できない、高価な一般図書、児童図書について、熟慮を重ね、選択したという。
この日、市役所の市長応接室で、妙中会長らクラブ員7人が出席して、「寄贈図書目録・贈呈式」が行われ、妙中会長が図書目録を贈ったのに対し、平木哲郎(ひらき・てつろう)市長が感謝状を贈った。
妙中会長は「これが私たちクラブの最後の奉仕となりますが、クラブ解散後もそれぞれ個々人で、奉仕活動を続けたいと思っています」と挨拶。平木市長は「私たちのまちには、名誉市民の世界的数学者・岡潔(おか・きよし)博士、オリンピック金メダリストの前畑秀子(まえはた・ひでこ)さん、古川勝(ふるかわ・まさる)さん=いずれも故人=がいます。将来的には、広大な杉村公園を整備して、図書館や郷土資料館、名誉市民の記念館などの建設を考えています」と説明、謝辞を述べた。
寄贈された書棚は、タモの木で出来ていて、高さ約1・5メートル、幅約90センチの、頑丈で綺麗な3段式。寄贈図書は「平安時代史事典 オンデマンド版 あーそ」(角川学芸出版=40000円)や「かがくあそび(フレーベル館の図鑑ナチュラ)」(フレーベル館=1900円)など、同図書館にない本が選ばれていて、大勢の読書家を感動させそう。
写真(上)は橋本紀ノ川ロータリークラブが橋本市図書館に寄贈した図書と書棚と同クラブの皆さん。写真(中)は平木・橋本市長=手前=から感謝状を受ける橋本紀ノ川ロータリークラブの妙中会長。写真(下)は橋本紀ノ川ロータリークラブが結成5周年記念事業で橋本運動公園に設置した「手形陶板」。