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タカの帆翔シーズン到来~国城山頂、抜群の展望
和歌山県橋本市の国城山(標高552メートル)頂上から、山麓の紀の川上空を渡るタカ(鷹)の群れが眺望できる季節がやってきた。日本野鳥の会和歌山県支部の中西正和(なかにし・まさかず)副支部長は「天気さえよければ、9月下旬から10月上旬にかけて、沢山のタカの飛翔がみられますよ」と話している。
中西・副支部長によると、タカにはサシバ、ハチクマ、ハヤブサなどの種類があり、この季節、愛知県の渥美半島・伊良湖岬から、三重・奈良県境の高見山を経て、紀の川の上空を西へ渡る。
その絶好の「タカ見場」が国城山で、穏やかに晴れた日は、朝から夕方まで、10羽以上が一群となり飛翔。年に1、2度、最多で計1000羽以上ものタカの群れを眺望できることもある。
〝渡りのピーク〟は午前11時~午後2時頃で、とくに、山腹付近に上昇気流が立つときは、タカが輪を描きながら、上空に向かって帆翔(はんしょう=羽ばたかないで翼に風をはらんで飛翔)する「タカ柱」さえ見られるという。
中西・副支部長は、毎年、シーズン中、野鳥観察用メガネや双眼鏡を持ち、山上の国城神社境内の休憩所や、双眼鏡のある展望台などから観測。近府県からも野鳥ファンやカメラマンが訪れている。
中西・副支部長は「約30年前と比較すると、紀の川上空を渡るタカの数は、だいたい半減しています。その原因は田畑への農薬散布、さらに休耕田が増えて、エサが激減しているためでしょう」と残念がる。
それにしても、「ここは紀の川筋随一のタカ見場。このパノラマ状の風景の中を、悠々と渡っていくタカの姿、野鳥たちの姿を見て、自然と命の素晴らしさを感じてほしい」と話していた。
写真(上)は双眼鏡のある国城山の展望台。写真(中)は中西・副会長が作成した「タカ柱」の説明図。写真(下)は紀の川北岸の市街地から仰いだ国城山。