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すごい!道具に驚く子供たち~門前歴史交流館
和歌山県橋本市隅田町中島の「門前(もんまえ)歴史交流館」1階にある「門前歴史道具館」が、地元の小学生たちの社会科学習「昔の暮らし」に役立っている。この道具館には、昔から使われてきた農機具、調理器具、大工道具、左官道具などを展示。中西修館長は「昔の道具の使い方を教えながら、昔の日本人と道具の関わり、道具の素晴らしさを、次世代に伝えたい」と言っている。
「門前歴史交流館」は約10年前、元・隅田村役場(木造2階建て)を活用オープン。1階に「門前歴史道具館」を設け、農機具では唐箕(とうみ)、田植枠(たうえわく)、縄ない機など、調理器具は包丁、笊(ざる)、臼(うす)など、大工・左官道具は鉋(かんな)、墨差(すみさし)、コテなど計約300点を飾っている。
これは、地元で割烹「勝一(かついち)」を経営するかたわら、郷土料理講習の講師を務めている中西館長が、若い頃から収集してきた道具類を展示。郷土の貴重な歴史的道具類として、市民に紹介してきた。見学に訪れた橋本市立隅田小学校の3年生児童70人は、おびただしい数の形も色も異なる道具類と、同じ室内に飾られた美しい蝶々の標本に驚き、真剣な表情で見入っていた。
中西館長は「昔は大工も、左官も、料理人も、すべて〝番頭はんと丁稚(でっち)どん〟の世界。私の場合、初めは料理修行など、とてもとても…。田んぼ作りをやらされ、包丁の荒砥(あらとぎ)、皿洗いをやらされ、料理技術は盗み取りするほかありませんでした。子供たちには、その苦労話と一緒に道具をみてもらいていと思います」と話した。
2階では、隅田中央商店街振興組合の会員・特別会員らが、子供たちに「天然記念物・北海道のり蝶々の生態」や、孔子の論語にある「温故知新(おんこちしん=ふるきをあたためて、あたらしきをしる)」の意味などを教え、子供たちは独自の感性を身につけている。
中西館長は「近代化がすべていい訳ではありません。古い道具類にこもっている農家、大工、料理人の心意気。これを感じてもらえれば、子供たちは素晴らしい大人に成長することでしよう」と語った。
写真(上)は隅田小学校の児童たちが楽しく見学する「門前歴史道具館」。写真(中)は展示された道具類の名前や特徴をメモする児童たち。写真(下)は児童たちに道具類を説明する中西館長。