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「と」「び」「こ」「え」「石」~初の葉牡丹・植栽アート
万葉人が往来したことで名高い和歌山県橋本市隅田町真土の落合川〝飛び越え石〟近くの畑で、幾つもの葉牡丹(はぼたん)を使って「とびこえ石」という文字を描いた葉牡丹・植栽アートが、平成26年初頭の心地よさを感じさせている。
真土区の元区長・中谷久光さんの話によると、葉牡丹600本を使って「と」「び」「こ」「え」「石」の文字の形に並べ植えし、その隣の畑には、葉牡丹400本を横一直線に植えた。
もう少し詳しく言うと昨年9月中旬、真土区の元会計・西田敏男さんが中心になって、畑に文字の形に糸を張り、やや高台の万葉池から中谷さんが眺めて調整。区民数人が糸に沿って畝(うね)をつくり、植栽したところ、歳末には立派に育ち、葉牡丹らしい瑞々しさを表してくれたという。
落合川の〝飛び越え石〟は、大和(奈良)と紀州(和歌山)の境界の両側にあり、1つの巨石は大和側、もう1つの巨石は紀州側。普段は、その石と石との約50センチの間を清流が流れている。万葉人は、その2つの石をひょいと渡り、大和から紀州・和歌浦、牟婁の地、伊勢方面へ旅したという。
万葉集には「白栲(しろたえ)に にほふ信土(まつち)の 山川(やまがわ)に わが馬なづむ 家恋ふらしも」(作者未詳=信土山の川で私の乗る馬が行き悩んでいる。家人が私を思っているらしい)という歌が収められ、万葉学者の故・犬養孝さんが、こよなくこの〝飛び越え石〟を愛したという。
中谷さんは「葉牡丹アートは、初めての試みですが、今後もいろいろ考案して、万葉ファンや観光客の皆さんに楽しんでもらいたい」と話した。
写真(上)は「と」「び」「こ」「え」「石」の形の葉牡丹・植栽アート=高台の万葉池から撮影。写真(中)は「と」「び」の部分。写真(下)は「こ」「え」「石」の部分。