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葛城館・祝修復~お茶会&再織実演~日本の秋満喫

平成の修復を終えた和歌山県橋本市高野口町のJR和歌山線・高野口駅前にある、国の有形登録文化財「葛城館(かつらぎかん)」=5代目当主・大矢裕さん(51)=で、10月27日、武者小路千家(官休庵=かんきゅうあん)社中による〝お茶会〟が催され、大勢の茶人や一般客が、深みゆく日本の秋を共に満喫した。
お茶会は葛城館の2階の客間で開催され、床の間は、官休庵13代目家元・有隣斎(ゆうりんさい)直筆「草花寿(くさばなのことぶき)」の掛け軸と、花瓶に生けた薄(すすき)や秋桜(こすもす)、水引草などで飾られた。
初めに亭主・官休庵教授の梅山香雪(うめやま・こうせつ=本名・厚子)さん(70)が「このような素晴らしい日本建築の葛城館で、大勢の方々にお会いできて、とてもうれしいです。きょうはお茶をいただきながら、名残の秋を過ごしてください」とにこやかに挨拶。お点前の茶筅(ちゃせん)の音が、しゃっしゃっと聴こえるほどの静かな室内で、茶席一回あたり約20人の客が座布団に座り、背筋もしゃんとさせ、次々と抹茶をいただいた。
また、一階の土間では、高野口名産のパイル織物の元祖で、明治時代に創案された「再織(さいおり)」の技術が披露され、大勢の人々が見学。手織り機で巧みに織られていく手仕事や、出来上がった衣服、マフラーなどを拝見し、「まあ素敵」という声が相次いでいた。
葛城館は元旅館で、建物は明治時代後期に建築された木造3階の入母屋作り。建物の老朽化のため、宮大工による修復工事を行い、今春完成した。
お茶会に出席した人たちは、古風な階段を上って、真新しい畳の客間で記念撮影したり、格子入りの明かり窓の極美に見とれたり。とくに3階の総ガラス張りの窓から飛び込んでくるJR高野口駅や、桜の名所・庚申山(こうしんさん)の景色には、「何という眺望」と、目を丸くして喜んでいた。
梅山さんは「このような葛城館で、大勢の方々と秋のひとときを過ごすことができ、葛城館の良さもわかってもらえたので本望です」と述べ、大矢さんは「この国の有形登録文化財をどう維持していくか、皆さんの応援もいただきながら、今後、しっかりと考えていきたい」と語った。
写真(上)は葛城館で開かれた武者小路千家・梅山社中によるお茶会。写真(中)は葛城館で開かれた「再織」実演。写真(下)は美しい葛城館3階の客間で記念撮影する女性たち。


更新日:2013年10月28日 月曜日 00:27

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