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原爆忌〜悲惨な戦争忘れない!「戦争文庫」始まる
広島原爆忌の8月6日、和歌山県橋本市のJR橋本駅の「ゆかいな図書館」では、戦争に関する図書を集めた同図書館世話人会主催の「第3回・戦争文庫」が始まった。阪口繁昭・世話人代表(85)は「きょうは広島、9日は長崎原爆忌、15日は終戦記念日…。風化が進む中、改めて読書により、戦争の無残さをかみしめ、平和を希求してほしい」と訴えている。8月31日まで。
この日、図書館の書棚に並べられた戦争関係の図書は計500冊で、いずれも全国の〝善意の人々〟から寄せられた新刊本や古本。世話人会の約10人が図書館名のスタンプを押して書棚に収めた。
同図書館・世話人会の話によると、過去約10年間の寄贈本の中から、戦争関係の本だけを収集。平成23年から毎夏「戦争文庫」を開催したが、「持ち帰り・返却自由」としたため、約半数は返却されない。それでも、世話人会は「大切な家族が戦死し、その図書に特別な思いがあるに違いない」などと判断。今回も「持ち帰り・返却自由」としている。
阪口・世話人代表は、太平洋戦争中の満蒙開拓青少年義勇軍の一員。中ソ国境で被弾して、左耳が聴こえず、捕虜としてシベリアに抑留され、多くの戦友を亡くし、九死に一生を得て帰国した辛い経験を持つ。「帰国後、橋本駅でも米軍の機銃掃射で、市民6人が犠牲になったことを知り、調査のうえ地元の丸山公園に銃弾跡の残る橋本駅の板壁を保存展示、犠牲者・追悼碑を建てて追悼しています。広島、長崎では原爆投下で多くの尊い人命が奪われました。今は戦争経験者が少なくなったので、せめて読書で、戦争と平和について考えほしい」と話した。
また、図書館世話人で元・紀北工業高校教諭の池永恵司さん(82)は「中学3年生の時、自宅からすぐ下方の橋本駅・空襲を目撃しました。低空飛行する米軍機の操縦兵士の横顔が見え、激しく機銃掃射した瞬間、貨物列車に積まれた松根油入りのドラム缶が、次々と爆発、上空に舞い上がりました」と述懐。「悲惨な戦争の記憶を風化させないためにも、しっかり読書してほしいです」と語った。
「ゆかいな図書館」は、橋本駅の改札口の外側にある。
写真(上)は、「第3回・戦争文庫」の準備作業をするゆかいな図書館・世話人。写真(中)は書棚に並んだ戦争関係の図書の数々。写真(下)はゆかいな図書館に「戦争文庫」の張り紙をする世話人の方々。