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紀ノ川筋最古の観音像初公開…和歌山県立博物館

紀ノ川筋で最古の仏像と鑑定された和歌山県橋本市東家の真言律宗・妙楽寺(岩西彰真住職)に伝わる観音菩薩立像(奈良時代後期~平安時代初期)が、10月20日(土)~12月2日(日)、和歌山市吹上の和歌山県立博物館(伊東史朗館長)で開かれる特別展「高野山麓 祈りのかたち」に展示される。東家区(森下功区長)は、区民対象の回覧板で同展パンフレットを紹介し、「区としても貴重な文化財であり、大切に守って、後世に引き継いでいかなければ…」と呼びかけている。
鑑定によると、この観音菩薩立像は、高さ約46・2センチの総ヒノキ製。その特徴は、頭上の大きな髻(もとどり)、穴を開けていない耳たぶ、美しい反りのある姿勢、まとった天衣の裾に模様があり、質素な首飾りや腕輪などをつけている。
同博物館は、これらの特徴かから「制作年代を奈良時代後期~平安時代初期」(8世~9世紀初期)と鑑定。これまで紀ノ川筋で最古とされていた、和歌山市の慈光円福院の十一面観音立像(9世紀)よりも、古いことが判明したという。
妙楽寺は820年(弘仁11)に嵯峨天皇の勅願で、弘法大師・空海が創建。所蔵の観音菩薩立像は、同寺創建以前の製作ということになる。
同寺は檀家を置かない寺で、今は建物が極度に老朽化。本堂は昨年秋の台風・豪雨で屋根が崩落し、山門も倒壊寸前の状態。同寺の責任役員らは、この文化財・再建計画の前段として、観音菩薩立像などの調査を橋本市教委に依頼。それがきっかけで、県立博物館の伊東館長や大河内智之・学芸員らが鑑定に訪れ、高い文化財的価値がわかった。
同博物館は特別展「高野山麓 祈りのかたち」のパンフに、この観音菩薩立像を写真入りで「初公開」として紹介。岩西住職は「文化財的な価値を鑑定してもらったうえに、特別展にも出展され、多くの方々に拝観していただけるとは…」と喜んでいる。
出展のため観音菩薩立像を引き取りに妙楽寺を訪れた大河内・学芸員は「真言密教の聖地・高野山と山麓の人々は、約1200年にわたって行き来し、いわば高野山麓も、高野山文化圏だと思います。高野山麓の寺社などの仏像・絵画を一堂に集めた特別展は、初めての開催なので、ぜひご覧ください」と話した。
特別展「高野山麓 祈りのかたち」は、入館料一般800円、大学生500円。高校生以下、65歳以上の方、障害者手帳をお持ちの方、和歌山県内に在学中の外国人留学生は無料。開館時間は午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)。月曜日は休館。
写真(上)は特別展「高野山麓 祈りのかたち」に展示される妙楽寺所蔵の観音菩薩立像。写真(中)は立ち姿も美しい妙楽寺の観音菩薩立像。写真(下)は紀ノ川筋で最古の仏像と鑑定された観音菩薩立像を所蔵する妙楽寺の山門。


更新日:2012年10月1日 月曜日 13:04

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